« 2005年7月 | トップページ | 2005年9月 »

2005年8月28日 (日)

ハローワークにひとこと

 転職や失業などで公共職業安定所(ハローワーク)を利用した方であればご存知の、求人内容が書かれた「求人票」の多くは、社会保険完備となっています。雇用・労災・健康・厚生の4つを総称して社会保険といっています。

 ハローワークの求人にもかかわらず、厚生年金未加入企業の求人が白昼堂々?と求職者に紹介されている現実があります。該当しないまたは何らかの理由により、厚生年金未加入もしくは入社後加入予定は別にして、社会保険庁が躍起になって加入促進や違法脱退の防止に努めているにもかかわらず、他の省庁のことだからと知らん顔をしていることに釈然としないものがあります。

ここにハローワークの求人票があります。

事業所名:A社 従業員数:380名 勤務地:千葉県 社会保険 雇用・労災あり、健康・厚生なし(二重線で消去)となっています。380名もの常用勤務者がいて、企業年金未加入とは驚きです。

 仕事柄当該企業の内実を調べたところ、従業員の大多数はパート勤務で健康保険及び厚生年金に加入する必要の無い方々でした。しかしながら、全体の数%を占める常用の正社員が在籍しており、企業年金加入義務用件を満たしていると思われます。ハローワークともあろうものが、厚生年金法違反の疑いのある未加入企業へ求職者を紹介することは、おかしいと思いませんか?

 企業年金未加入がこれだけ社会問題化している今、求人受付時、もっと精査し疑わしき企業への紹介はしないとの強い姿勢が望まれます。最近、指導が強化されたせいか少なくなりつつありますが、このような求人票が公開される事のない様、当局の改善を促したいと思います。年金の財源確保は、個人に負担を強いるだけではなく、企業にも応分の負担を求めるのが筋ではないでしょうか。【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年8月16日 (火)

代替調剤の制度化を望む

 代替調剤という耳慣れない言葉をご存知ですか?

 医師が処方した薬を、薬の専門家である薬剤師が同成分・効果・品質の薬に変更できる制度で、欧米各国では一般化しています。わが国の現行法では、薬の処方全てが医師の判断に任され、薬剤師が他の薬に(製薬メーカーも含め)変更する事はできません。代替調剤の利点の一つにジェネリック医薬品を使う事による医療費の抑制効果が挙げられます。

 最近、ジェネリック医薬品のコマーシャルがテレビでよく放映されています。簡単にいえば、特許切れの薬を後発品として販売しているものですが、その薬効や品質などは全く問題ありません。しかしながら日本での普及率は低く、全処方薬の18%前後しかありません。米国では40%を超える勢いで、医療費抑制策の一環として推奨されています。

 日本では、何故ジェネリック医薬品が浸透しないのでしょうか?一概にその理由はこれと言うわけにはいかない複雑なしがらみがあるようです。政府や各種研究機関で議論が活発になされています。遅々として進まない理由の一つに、日本医師会主導による代替調剤拒否があります。

 先日、かかりつけの医師の処方箋を持って、近所の調剤薬局を訪ね処方をお願いした時のことです。ある薬の同じ用法・容量である別の薬に変えて欲しいと申し出ました。その薬が類似薬であることを薬剤師さんも認めた上で、「処方された薬は、医師の指示がなければできません」と答えた表情には薬剤師の無念さが出ているような気がしました。薬の専門家が、必ずしも薬の専門家ではない、医師の指示に絶対服従という現実がここにあります。何かおかしいと思いませんか?

 アメリカでは、臨床薬剤師という仕事があります。患者さんを実際診療する医師を臨床医といいますが、臨床医と一緒になって薬剤師の立場から患者さんを診る、「臨床薬剤師」がいます。私が訪問した、テネシー州のある病院では、心疾患患者に対するジギタリスの投与に際しては、臨床医が臨床薬剤師の意見を基に投与方法を決めていました。もう10年以上も前の話です。医師が薬剤師の意見を聞きながら薬物療法を行うことは、しごく当たり前なこととして受け入れられています。

 04年度の概算医療費が、前年度比6200億円増(2.0%増)の31兆4千億円と過去最高を更新しました。中でも、医療機関別にかかった医療費は、病院が前年度比0.7%増の17兆1千億円、診療所は、同2.5%増の7兆6千億円、保険薬局は、同7.8%増の4兆2千億円との結果が厚生労働省から発表されました。保険薬局が最も大きな伸びを示しています。薬剤天国日本の姿があります。

 ジェネリック医薬品をもっと積極的に使うためには、代替調剤の制度が不可欠です。一日も早い制度化を切望します。改革を進めなければ、医療行政が早晩破綻することは誰の目から見ても分りきっていることです。

 今出来ることは、患者から医師にジェネリック医薬品の処方を依頼しましょう。きっと、医師は驚いた目であなたを見上げると思います。【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年8月11日 (木)

賢い医者選び(医者は万能か)

 お腹が痛かったり、頭痛がしたり、歯が疼いたりと人間の身体は、重篤で不測の事態が起こる前に注意信号を私たちに送ってくれます。

 あなたは、どこか身体に変調をきたした時、どこのクリニックや病院に行っていますか?近所にあるから、あの病院は評判がいいからなど単純な理由で決めている方もきっと多いことでしょう。施設の外観やロビーがきれい、先生や看護師さんがとても親切、先生が有名、近所で評判がいい、保険診療でまかなってくれるなどいろいろな基準を持っていることでしょう。

 もしあなたが風邪をひいたら、最初にどの診療科を訪ねますか?素人判断でも、内科・耳鼻科・小児科・アレルギー科などをまず思い浮かべます。それはしごく当然なことです。風邪で外科病院に行く人は少ないでしょう。すぐ扁桃腺が腫れる人は、耳鼻咽喉科に行かれることでしょう。意外にもご近所の耳より情報は、結構参考になるものです。最近の若い人は、パソコンで医療機関情報を取り出し、ああじゃそうじゃと検討を加えた後に予約する人が増えているそうです。

 ところで、あなたは、医療施設や診療科の選択をした後、全てを医療機関に任せきっていませんか?新患の手続きをして、診察室に呼ばれるまで待って、いいかげんの頃合いに呼ばれて初対面の先生に「宜しくお願いします」としている方がほとんどでしょう。

医者:「どうしました?どこが痛いんですか?いつごろからですか?じゃあ見てみましょう」

患者:「ええ、先生宜しくお願いします」

 この会話によって、治療する側と医療行為を受ける側との診療契約が成立します。契約成立と同時に患者扱いになり、診療報酬の請求・支払い対象となるのです。ちっとも不思議な話ではないと思う人は普通の人です。もし、「いいえ、結構です。それなら違う病院に行きます」となった場合、厳密に言えば契約不成立ですから、初診料や治療費は請求されません。請求されたら拒否できます。これを知っている人は、医療機関の内部事情に明るい人です。

 賢い患者になるもう一つ重要なことがあります。それは、担当医の治療専門分野をきちんと聞くあるいは調べることです。(出身大学・経歴・研究領域《特に臨床経験領域》・認定医資格の有無など)

 医療の世界では、内科医が外科や産科を見てもいいことになっています。現在の医師法では、医師の資格さえ取れば、スーパーマンになれます。私たちが国際線や新幹線などの車内放送で「ご乗車の皆様方の中にお医者様はいらっしゃいませんでしょうか?もしおいででしたら客室乗務員にお知らせ下さい」と流れることがあります。「脳外科の専門医はおりませんか」とは決して流れません。どの科のどの先生(医師)でもいいのです。美談として外科の先生が赤ちゃんの誕生を手助けしたなどの記事が載ったりします。医師は確かに一般人に比べはるかに医療に関する専門知識を持っています。緊急避難的な場合は止むを得ません。

 では、もしあなたの担当医が病気とは全く専門外の医者であったとしたらどうしますか?例えば、癌といっても発症部位や臓器などにより全く治療方法が異なります。医者を過信していると、もしかして取り返しのつかないことになるかも知れません。遠慮なく担当医の専門領域を確認してから、治療を委ねるか否か判断すべきです。

 医者は時として万能を求められますが、決して万能ではありません。【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2005年7月 | トップページ | 2005年9月 »