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2005年9月24日 (土)

診療報酬改定に望む

 厚生労働省の諮問機関である、中央社会保険医療協議会(中医協)が医薬品の公定価格である薬価の制度改革の本格的審議に着手したとの報道を耳にしました。早ければ2006年度の診療報酬に反映させるとのことです。

 様々な問題を抱える日本の医療制度を考え直す良い機会であり、諮問機関の存在は、日本ならではの優れた審議制度であり、是非医療改革の具体策を作り上げて欲しいと心底応援したいと思います。

 最大の争点が新薬の画期性を薬価でどう評価するかということの様です。中医協としては医療費抑制上、非常に大切なテーマです。一方、製薬会社にしても重大関心事であり、今後の新薬開発の企業方針を左右し兼ねない重要な問題です。論理的で且つ大胆な改革案を提起して欲しいものです。いたずらに製薬会社の開発意欲を削ぐものであって欲しくありません。製薬会社が新薬開発に賭ける膨大なエネルギーと努力があってこそ新薬が生まれるわけです。そして利益を回収できなければ、次世代の新薬開発に心血を注ぐ会社などありません。合理性をどこに持つかで決まるのではないでしょうか。

 ところで、新薬ばかりに目がいっていませんか?

 今回の診療報酬改定の大きなテーマに、ジェネリック医薬品の薬価改定に是非踏み込んで欲しいと思うのは私一人でしょうか。古今東西、いい薬として使われているジェネリック医薬品は沢山あります。未だ品目数は全体から見れば少ないと言えます。しかしながら、ここ数年で特許切れの大型品が続々と登場してくるでしょう。大阪吹田市にある国立循環器病センターなど一部の医療機関では、国の施策もあってか積極的に導入する医療機関が確実に増えつつあります。ジェネリック医薬品の投与にあたって、優遇措置といったものを検討できないでしょうか?処方促進の一環として、奨励金導入の検討を提案します。

 新薬は当然のごとく、薬価と購入価との差益が大きく病院の貴重な収入源であるわけです。大多数の医師は、製品名または商品名でカルテに処方薬を記入するため、薬局または調剤薬局では、同一成分で用法容量のジェネリック医薬品に変更することはできません。ひとえに薬価差益を意識してのことです。医師が薬価が低く差益の少ないジェネリック医薬品に目を向けない理由の一つです。ならば、特許切れ前の医薬品とジェネリック医薬品の薬価を一律にするのではなく、ある種(多用されている薬またはその逆)のジェネリック医薬品を使った場合、奨励金を設けることでジェネリック医薬品使用の促進を図ることも必要ではないでしょうか。極端な差益・差損を医療機関に押し付けようとする結果、いいとは分っていてもしない医療施設があるような気がします。押し付け行政から実行効果の伴う診療報酬改定であって欲しいと切に希望します。

 奨励金の導入が最善とは思いませんが、ただ医療機関に「使え使え」と言っても無理な話です。諮問機関関係者の英断と知恵を期待します。【了】

 

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2005年9月18日 (日)

高齢者の再就職・厳しい現実

 9月18日(日)フジテレビ系で放映されたザ・ノンフィクションで、高齢者の再就職がとりあげられました。

 59歳の元サラリーマンと63歳の元自営業者が登場、再就職の厳しい現実を追ったドキュメンタリーで、現に再就職を希望する世のリストラ組の人にとっては、つらい番組であったかもしれません。その内の元サラリーマンの方は、妻に退職したことを告げず、毎朝決まった時間に自宅を出て、ハローワークや人材銀行めぐりをし、夕方帰宅するという生活を送っていました。後ろめたい気持ちを抑え、毎朝玄関を出る気分はその人でなければわかりません。ハローワークは午前10時からで、その間一杯200円のコーヒーをすすり、開場を待ちます。ハローワークで求人検索しても年齢制限で応募できる企業は少なく、相談員からも「厳しいでね」と同情され、意を決して自分から直接企業に電話しても、断られるという非情なまでの現実の厳しさが伝わってきました。心の癒しを求め、横須賀港に出向き、港を眺める姿がひときわ印象的でした。

 このザ・ノンフィクションで製作者の訴えたかった事は、事実を伝え、厳しさを訴え、視聴者の同情を買う事もさることながら別のメッセージがあったような気がします。私の経験から私見を少し述べたいと思います。

 第一に、リストラされた事実を妻や家族にも明かさず、何事も無いごとく失業保険を給料として毎月手渡すことの自己矛盾との葛藤があります。リストラで退職したという事実を妻や家族に打ち明けず、ひとり苦しむ姿には賛同しかねます。再就職に際しては、家族の協力がとても大事です。さらにまた、リストラで首になったことが、負け犬になったと誤解している人がなんと多い事か。勝ち組みの考え方は違います。リストラするような先の見えない企業にしがみつくことなく、さらに将来の可能性を求めて、いいチャンスとばかり退職する人すらいます。自分に自信の無い人ほど事実を隠す傾向にあります。再就職活動では、求める仕事・給料・勤務場所などが大きく変わる場合がほとんどで、妻や家族の同意・覚悟が必要な場面に遭遇します。運良く、新たな仕事を決めた後に、給料が半減する事を奥さんに告げる方がもっと苦痛です。「どうして一言相談してくれなかったの?」と不信感を抱かれる前に告知し、協力を仰ぐべきです。そして再就職できた暁には、共に手を取って喜びを分かち合うべきです。

 第二に、前職からのしがらみに強く影響され気持ちの切り替えができていないことです。失業中にもかかわらず、背広をパリと着込み「いかにも普通のサラリーマン」を演じている姿と気持ちが問題です。大手企業に長年勤務した、真面目な性格な人に多いタイプです。過去に引きづられ、気持ちの切り替えが出来ない人は、なかなか思うような転職はできません。今までと同じ、年功序列・地位・高い給料・手厚い福利厚生などを次にも求めようとするあまり、希望先企業がないと文句を言っているうちは、思うような転職はできません。それこそ、名誉も地位もかなぐり捨てる位の気持ちが大切です。気持ちを切り替え、更に条件の良い企業に再就職されている人は沢山おられます。

 第三に、仕事の選択にあたって前職の経験と地位だけを頼りにすることに再考の余地ありです。自分の強みは何かを分析し、その強みを企業にアピールすることです。高齢者にとって現在もっとも少ない求人である、総務・人事関連管理職は管理することも必要ながら、ひとつでもこれはという専門性を求められます。例えば、①人事なら評価昇給制度のシステムを作れる②採用なら企画から募集・応募・面接・採用までの一連の仕事ができるなどです。言われてから久しい「人事の課長ができる」人は採用されません。

 第四に、再就職に対する心構えです。積極性とポジティブシンキングを持ち続けることです。気持ちの入れ替えが重要で、前の会社から決別し、積極的な姿勢で臨むことです。どんなに素晴らしい経歴・キャリアの持ち主でも、新たな仕事に対する積極性がなければいけません。ネガティブシンキングもいけません。

 最後に、常に再就職するんだという強い意志を持ち続けることです。登場された元サラリーマンの方は、126社目でやっと再就職にありつけたとのことです。どんな方でも必ずや再就職先はあります。内定するまで強い意志を持ち続けて下さい。気持ちを維持できた人が成功します。求職活動をしている高齢者のみなさんの一日も早い再就職をお祈りしています。【了】

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多剤投与問題を考える

 皆さんも良くご存知の病院薬局窓口で日々繰り返される光景に、ビニール袋一杯の薬を嬉しそうに受け取る高齢者の姿があります。その異様な量に、買い物でもしたのかと思ってしまうことすらあります。中には処方された錠剤や顆粒・シロップ・軟膏・貼り薬など様々な薬が入っています。必要だから医師が処方したわけで、部外者がどうのこうの言うことではありません。

 厚生労働省がまとめた04年度の「社会医療診療行為調査」で、医療機関の外来で薬を処方された人のうち、老人保険制度対象の71歳以上のお年よりでは、7種類以上の薬を処方される「多剤投与」のケースが20%にもなることが判明しました。因みに71歳未満では半分の10%であったそうです。

 高齢者になれば様々な複合した病気を発症し、診断も多伎にわたる結果、薬剤投与数が増えるであろう事は誰にでも予測できることです。ある知り合いのお婆さんで、風邪・腰痛・皮膚病はたまた生活習慣病まで「病気一切」の面倒を見ていただいている近くの内科医院がありました。先生はとても親切な方で、すっかりお気に入りの医療施設です。毎回沢山の薬をいただいて帰りますが、指示通り服薬していると思っても、もどんどん薬が溜まる一方だそうです。こんな経験をお持ち方も多いでしょう。

 高齢者に限らず、一般人で風邪の症状で初診すると、感冒薬に加え抗生物質を数種類投与することがあります。初診の段階では菌の同定(原因菌を特定すること)が出来ませんから処方するいくつかのどれかが効くだろうという「見込み投与」をお医者さんは余儀なくされています。この場合、多剤投与は止むを得ません。ただし7剤を越えることはまずありません。一方で癌患者や一部の病気では(例えばてんかんなど)、その必要性から多剤投与が一般的に行われいます。多剤投与が必要な場合もあります。

 ある大病院の薬剤部副部長さんが自嘲気味に、日々繰り返される薬価目当ての多剤投与の現実に疑問を呈しておられます。病院は薬価差益で収入を得ていますから、売れれば?売れるほど利益が膨らみます。患者のいいなり(ここが痛い・あそこが悪い)をいいことに薬を処方しているとすれば医療費膨大の大きな原因です。利益を生み出す医師ほど腕がいいなどと不遜な考えの病院長や理事長がいると聞きます。

 「多罪投与」であってはなりません。薬物相互作用の頻度と投与薬物の数を見た時、投与薬物が増えるほど薬理学的に副作用(いいもの含む)があるといわれています。益なき多剤投与は一日も早く是正されて欲しいものです。

 厚生労働省が規制に乗り出しました。最初10剤以上の処方に対し、薬剤料合計の10%カットを皮切りに、現在では7剤以上の多剤投与について一層の規制がかけられました。これには猛烈な反対の声が一部医療関係者からあがっています。「医学的根拠なき多剤投与の規制強化に抗議!」といったものです。

 一律に多剤投与規制を厚生労働省がかけた結果、必要な多剤投与患者に影響を与えていることは問題です。投網方式を改め医療上、本当に必要と判断される患者または疾患に対しては費用負担を含め救済処置を考えるべきではないでしょうか。【了】

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2005年9月 9日 (金)

がんばれ!「病院の通信簿.com」

 身体の具合が悪くなった時、どこの医療施設を選ぶか迷う人も多いと思います。

長く同一地域にお住まいの方であれば、風邪ならあそこ、外科ならそことホームドクターをお持ちかも知れませんが、転居などにより新たな住人にとっては迷うところです。

①何科を受診するかを決め

②住まいから近いところ

③外見がきれいなところ  で選ぶ人も沢山いるでしょう。

 近頃では病院を選ぶ際、インターネットで検索してから決める人が増えてきました。そこには、沢山の病院情報が掲載されています。また医療施設のホームページを見れば、診療科・診療時間・医師紹介・施設や設備などを工夫を凝らして利用者に訴えています。もっともっと情報が公開され患者にとって有益な情報の提供を引き続きお願いしたいものです。

 病院選びは他にもあります。電話帳、看板、電柱広告、タウン誌、クチコミ誌、駅ネオン塔などでも見ることが出来ます。便利になりました。

 ここで問題です。それらの情報は全て医療施設側の情報であり、診療の質や医療スタッフの対応、診療費、待合室の雰囲気など患者が最も知りたい情報がどこにもありません。医療機関は法律によって宣伝活動を厳しく制限されています。事実を述べるに留まっているのはそのためです。患者が本当に知りたい情報がどこかにないでしょうか?

「病院の通信簿.com」がにわかにクローズアップされてきました。

 医療施設を受診した患者が、顧客満足度調査に回答することによって、病院の評価を行い、その結果をネット上で公開し、利用者に病院選びの参考にしてもらうことを狙いに立ち上げられました。今や病院選びの強い見方として広く使われています。評価結果は利用者にみならず、医療側にも質の向上や意識の改善につなげてもらおうとするユニークなウエブサイトです。現在では、インターネットに加え携帯電話から気軽に検索することができます。病院看板にある電話番号を入力するだけで、その施設の評価が得られますので、評価が悪ければ別の病院に行こうかということになります。しかも、利用者は無料で利用できます。念のためですが、私はネット運営者とは全く関係ありません。

 初めて「病院の通信簿」を目にした時、驚きの一言でした。待っていたものがやっと現れたなというのが率直な感想です。これから更に改善が加えられ、利用者にとってより有益で利用し易いウエブサイトとなることを期待します。皆さんも是非一度「病院の通信簿」をクリックしてみて下さい。お勧めです。【了】

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