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2005年12月18日 (日)

健康診断の見直しに疑問(医療制度構造改革試案)

 毎日新聞によれば、厚生労働省研究班のまとめた報告書で、「労働安全衛生法・老人保健法・健康保健法などで実施されている健康診断は有効でない検査項目が多く、見直しを図るべきだ」との報道がなされました。

 最新の科学的知見に基づいた保健事業に係わる調査研究班(班長 福井次矢聖路加国際病院長)によりとりまとめられたもので、大胆な提言を行っています。検査の有効性に厳しい評価(有効性に証拠が無いまたは無意味など否定的な判断)をした項目が、14項目に及びます。

 一般的な問診、視力検査、聴力検査、身体診察、聴診、腹部診察、心電図測定、胸部X線、コレステロール検査、肝機能検査(GOT・GPT・γーGTP)、尿検査、血球数などに疑問を呈し、C型・B型肝炎検診を判定保留としています。

 総医療費抑制策の一環として、あらゆる可能性に言及することには大賛成です。壮大なテーマを実現するため、薬価や検査にメスを入れることは至極当然です。健康診断関連でも、生活習慣病対策であるメタボリック症候群に照準を合わせ、健康診断を二段階にする事を決めました。今後二十年で二兆二千億円の医療費減を見込んでいます。でも何かおかしくありませんか?

 長い間、現行基準で健康診断を実施し、つぎ込んできたお金と手間は一体何だったのかと唖然とします。必死になって医療費抑制策を考えていると言うのに、このていたらくには腹が立ちます。時の官僚と検診基準を作成した医療関係者に義憤を感じます。この責任は誰がとるというのでしょう。

①現行健康診断基準は何だったのか

 見解を読むと、無意味である・判定に疑問・明確な証拠がない理由が述べられています。では、現行基準を作成した時の理由は何だったのでしょうか。その有用性について見解が述べられていたはずです。例えば化学的検査項目で、肝機能検査上その有用性が認められないとした根拠が本当にあるのか疑問です。ニューマーカーが発見され、新たな検査項目にバトンタッチするということなら理解できます。中高年以上の医師であれば、GOT・GPTの世界でした。ALT・ASTに本当に移行が完了していますか?γーGTPは不要ですか?学問と現場との温度差を思うと大いに疑問です。他者に代替の無い、一律の切捨てには、首を傾げます。

②産業医は検査項目を減らして診断できるのか

 各種の検査及び数値による診断を学んできた医者が、検査項目を減らした場合、的確な診断が行えるのかという問題があります。医療費抑制の為には、検査項目を減らせるなら減らすべきです。また余分な検査や儲け検査はもっての外です。ただ、いっぺんに廃止することに危うさを感じます。若いお医者さん程、検査依存度が高く、数値やグラフがないと判断できないのではないでしょうか。検査の有用性を再検証し、段階的廃止ないしは削除すべきと考えます。問診技術を持っていない医者が増えている現代、誤診と保身にならないことを祈ります。

③早く日本独自の基準を確立すべし

 よく比較されるアメリカ医療ですが、投薬や検査と同じように、健康診断についても、早く日本独自の基準を設けるべきではないでしょうか。アメリカに右に倣えではなく、検査の正常値に違いがあるのと同じで、「日本人」に即した独自の基準を早く確立して欲しいと思います。基準が作れないほど、日本の医者は馬鹿ではないはずです。

 医療改革という名のもとに、負の遺産(過去の間違い)を覆い隠す事がない様、責任の所在を明らかにすべきです。【了】

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