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2006年1月 9日 (月)

紹介状を無視する院長

 最近、初診外来に行くと多くの病院で紹介状(診療情報提供書)をお持ちですか?と聞かれることが多くなりました。特に病床数200を超える病院では、病院本来の機能を確保する目的もあって、軽微な疾患による診察はできるだけ抑制しようとしています。大病院や中核病院は本来、高度な治療を必要とする患者を受け入れるための施設であって、本当に必要な患者さんを優先するのはいた仕方ないことです。風邪や擦り傷など軽微な疾患や怪我の際は、出来るだけ近所の診療所を利用したいものです。

 理由があって、紹介状をいただき別の診療所を受診した時のことです。前の診療所には、生活習慣病の治療のため、約3年間お世話になり、患者として模範生であったかは別にして、そのお医者の指示のもと大分改善しておりました。紹介状を受ける時には、先生から紹介状の説明を受けました。診断名・治療内容・投薬状況・過去の検査記録などがきちんと記載されておりました。

 新患で入った診療所は家の近くの比較的新しい開業医で、受付で受診の目的を伝え紹介状を添えて手続きを終えました。暫くすると尿検査のため採尿の指示を受け終えたところ、一般検診と同じ様に身長・体重・血圧測定・検温などを受けました。ここまでは、当たり前の検査と理解していました。

 いよいよ初診が始まりました。

院長:「来院の目的は何ですか?」小太りの比較的温厚そうな院長でした。

患者:「転勤のため、当地に来ました。糖尿病他生活習慣病の治療を受けておりましたので、継続治療をお願いしたいと思います」

院長:「そうですか、ではこれからしっかり治療をしましょうね」ここまでは問題ありません。

院長:「では、状態をチェックするため、一通り肝機能検査を含め糖負荷試験などを行いましょう。採血しましょうね」

患者:「あの、先生。つい最近定期検査も受けましたし、経過良好といわれています。現にHba1cの値も5.3と正常値になっています」

この時点で唖然としたのが、明らかに紹介状を見ていないことでした。

院長:「自分の目で確認したいので、再検査を一通りさせて下さい」

何と【再検査をさせて欲しいと】お願いをされたのです。

院長:「当院は、循環器系専門のクリニックですから併せ循環器系の検査もしましょう」

 ここまでのやり取りでお解りいただけるように、紹介状の存在意義はなく、無駄な重複検査による費用と時間が患者にかかると言う現実でした。門構えと言い、働くスタッフといい、設備といい、外観はりっぱな診療所でしたが、金儲け亡者の一端を垣間見た思いです。前のかかりつけ医とのあまりの落差には驚きでした。

無論、この後診療所を変えたことは言うまでもありません。明らかに異常と思われる一部開業医には、「拒否」を行動で示したいものです。【了】

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2006年1月 4日 (水)

タミフルに見る製造ライセンス供与問題

 世界的に鳥インフルエンザ感染の拡大懸念が高まる中、ベトナムやタイなどアジア諸国が抗ウイルス薬「タミフル(Tamiflu/リン酸オセルタミビル)」の確保に躍起になっているとのことです。副作用も報告されていますが、インフルエンザに感染した場合でも有効とされる数少ない薬であり、各国の保健当局が備蓄拡大に努めようとするのは無理からぬことです。これらに関する情報は、連日新聞などで報道されています。国内では、中外製薬が販社となり、厚生労働省が発表した「新型インフルエンザ行動計画」に沿って、備蓄目標である2500万人分の確保に動いていると聞いています。

 タミフルは、スイスの大手医薬品メーカー・ロシュ社が独占製造権を有しており、タミフルの供給量を増やすため、自社生産の拡大に加え、他の企業に製造ライセンスを供与することを決めています。最近では、需要に追いつかないこともあり、各国の要請もあって、タイ・フィリピン・インドネシアでの無償製造許可をしています。この措置により、ロシュ・ブランドより安価な薬が製造できるため、途上国でもタミフルの普及が可能になりました。それまで、いずれの国も製造権の使用を希望し、ロシュ社と交渉を進めてきましたが、ライセンスが供与されないため擬似製品の製造を開始し様としていた矢先の朗報となりました。

 一方、台湾では、ロシュ社の許可を待つことなく行政衛生署にタミフルの製造許可を与えました。独占製造権を持つF・ホフマン・ラ・ロシュ社にとって、ライセンス供与していない企業が勝手に類似薬を作ることに対して大きな義憤を抱いているに違いありません。台湾の衛生当局は、ロシュ社からライセンス生産の許可が得られないため、世界貿易機関(WTO)協定で定められた「強制実施権」を発動し、勝手に台湾国内での生産を決めました。掟破りとも言える強行手段に異論を唱える方も多い事と思います。

 製薬企業にとって、知的財産権の保護は生命線といって過言ではありません。新薬を開発するために莫大な費用(人・モノ・金)をつぎ込み、やっと上市した途端、特許やライセンセスを侵略され類似薬が発売されたら、誰も心血注いで新薬開発等はしないでしょう。それだけ、知的財産権や独占使用権・独占製造権には権威があり、守られるべきルールです。民主経済の根幹をなすのが知的財産権です。

 今回の台湾が主張する「強制実施権」は、不可避的緊急措置として世界が認めたものなのでしょうか。一国の独断で何でもできるとしたら、ルールを守る国はありません。そして今後、同様な事態が発生しかねません。タミフルを事例として、「世界規模で想像もつかない感染症が蔓延した際の製造ライセンスのあり方」を今から準備しておく必要があるのではないでしょうか。【了】

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2006年1月 2日 (月)

新春に思う

 連日快晴であった師走が信じられない程、平成18年の元旦は薄曇で寒い一日となりました。全国的に天候不良で、新年のご来光を拝む事ができたのは限られた方でしょう。

 晴れたり曇ったり、雨が降ったり雪が積もったりと人の人生に似て、これからも永遠に続く事でしょう。また続いて欲しいと願っています。

 私にとって今月の誕生日は、特に感慨深いものがあります。世に生まれ出でて60年、還暦と同時に定年を迎えるからです。ひとことで言えば「よくぞここまで生きてきたな」といった心境です。

 今年もブログを情報発信の場として活用していきたいと考えています。

 テーマを医療・教育・雇用・余暇に絞って、思った事・感じた事等を取り上げるつもりです。ブログをご覧になられ、共感・共鳴いただいた方のメールを是非お待ちしています。単なる情報の発信から情報の共有、更には課題解決の行動へ拡大できればと考えています。【了】

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