« 2006年1月 | トップページ | 2006年3月 »

2006年2月26日 (日)

外資系企業を志す⑦製造中止は日常茶飯事

 企業が製品の製造中止に至る場合のほとんどは、その製品の持つ市場価値が低下し、競争力を失い且つ採算性を割り込んできた時です。製品のライフサイクルがどんどん短くなっていることから新製品が発売されたと思っているうちに消えていく製品もたくさんあります。メーカーは、販売を中止しても法的にある年数は、部品や消耗品を消費者に供給する体制をとることが義務付けられており、負担になっています。企業利益を生まない製品の供給は、企業にとって何もメリットがありません。華やかな時代を過ごした製品はいつか消え行く運命にあります。また発売したけれど思うような売上を図れない製品は、出来るだけ速やかに市場から撤退せざるを得ないのは企業論理としてもっともなことです。製品の製造中止判断を速やかに行うのが外資系の良いところであり、悪いところです。

 ご存知のように外資系企業の次から次へと新製品を市場に送り出す開発力とパワーは素晴らしいの一言です。一方で採算ベースに乗らない製品も相当数あります。普通なら一旦発売を開始した製品は儲からなくても儲け頭の影に隠れて、ほそぼそと供給する体制を日本の多くの企業はとります。企業の使命感、責任感みたいなものがそうさせるのでしょう。外資系企業は明らかに違います。

 売れない製品をいつまでも製造、販売、保守を行うのは「罪悪」なのです。一定の利益が確保されないと判断された時点で市場撤退作戦を速やかに立てます。どうすれば対費用効果があるか、どうすれば顧客の不満を解消できるか、いつまでにどうやって撤退を終えるかがマーケティングのプロマネによって密かに練られ、GOサインと同時に作戦は実行に移されます。一部の営業担当者からはブーイングが出ます。営業がわめこうが怒鳴ろうが決定された戦略を変更するようなヤワなプロマネはいません。利益確保を最優先する撤退作戦は何もまして重要なテーマなのです。

 顧客に出向いた営業担当は、いかにも申し訳なさそうに話し始めます。

「実は本社の意向で製造中止となりました。恐れ入りますがこの代替製品を採用していただきたいのですが・・・」

本社の意向でという以外理由はないのです。

「急にそんなことを言って貰っては困る。何でなんだ」

お客様は当然食って掛かります。

「いえ、何しろ本社が・・・」「客のことも考えずに何が本社だ」「申し訳ありません」平身低頭して誤り続ける営業担当者は悲惨でしかありません。

 実際の話ですが、ある日突然上司から取り扱い製品の販売中止命令を受けました。その時既に商談中の大学病院をいくつか持っていましたので、慌てふためきました。商談を進めていた製品が、商談半ばで販売中止となったのです。お客様も気に入り最後の詰めの段階でしたからより深刻なことでした。やっとのことで採用になる目前での撤退です。怒りおさまらず相当な勢いで上司に食い下がりました。しかしながら命令は覆されませんでした。数日後、病院を訪問し担当教授に会ったときのことです。「ちょっと話があるから、部屋にこい」といわれ教授室に向かいました。「君があれほどいいというから買う事に決めたのに、アメリカ本国では製造中止というではないか。いったいどうなっているのかね」喉が渇き声がうわずって言葉が上手く出ません。こちらから言う前に既に情報を入手していたのです。勿論一部終始をお話して謝罪しました。数千万円もする医療機器の商談でしたから、約3年に及ぶお付き合いで築いた信頼関係は全てご破算となりました。この時の悔しさは口では言い表せない屈辱感でした。

 いとも簡単なマーケット論理のもと戦略が展開されることを知っておくべきです。冒頭でお話した様に、新製品の発売も早ければ、撤退も早いと言うことを知っておくべきです。国内企業では、発売中止は企業の恥さらしという風潮がありますが、そんな甘っちょろい経営者は外資系では通用しません。採算を度外視して供給されなければならないもののひとつに医薬品や医療機器があります。多くの外資系製薬会社では、必ず代替品を用意する点は評価に値すると思います。【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年2月19日 (日)

外資系企業を志す⑥外部登用

 有能な社員を求め続けるのは企業が生き延びる宿命みたいなものです。特に外資系では、公用語が英語でかつ異文化交流の場です。「互いが互いを理解し合って目的に突き進む。言葉の問題なんて克服できるさ」こう考えるのはボランティアとか市民運動のレベルのことで、相手があなたを理解しようと一生懸命努力してくれる場合に限ります。企業のように食うか食われるかの戦いを展開せざるを得ない場所では、あなたを思いやる気持ちはこれっぽっちもありません。

 多くの企業では、人材開発を狙いに研修や異動そして海外派遣などあらゆる方法で後継者の育成を図り、常に人財の確保に努力しています。一般職については、むしろ外資系のほうが研修に熱心かも知れません。階層別研修、外部セミナーへの参加、海外出張、学会参加などを積極的に行います。また語学研修は、相当の負担をして社員の語学力向上に投資をしています。ある面では素晴らしいのひとことです。

 状況が一変するのは経営職・管理職になってからです。課長になり次長になりやがて部長になって更に上位への夢を馳せます。人間誰しも相性の合う人合わない人がいます。3-5年で交代する社長すべてと相性が合う人などいません。仮に35歳で課長になり45歳で部長になったとしましょう。平均4年で社長が交代すると、定年までに3.75人の社長に仕えることになります。相性が合わなければ、誰か他の人と変えるだけのことです。社内に適任者がいない場合も十分考えられます。その結果は、外部からの登用です。外部からきた部長さんに職を奪われ、その配下で仕事をすることになります。

 実際の経験をお話しましょう。前任社長のもとで人材開発部長として、目標管理制度の導入やCDPなどいくつかの社内改革を進めていました。社長交代となった途端、外部から人事統轄部長を迎え入れたのです。寝耳に水とはよくいったもので、そのニュースを聞いた時は信じられませんでした。「今日から私が人事を統轄することになりました。一切は私の考えでやらせていただきます。前の会社で経験したことを踏まえ改革を進めます。もし希望する他の職種があれば遠慮なく言ってください。その実現に努力します」確かこんな挨拶であったと思います。ただ茫然自失、開いた口が塞がらなかったものです。よほど新任社長に一言文句を言ってやろうかと考えたものです。止めました。無用な喧嘩は意味がありません。新任社長にとっては、必要な人を据えたに過ぎないのですから。これが外資系企業です。

 新規事業を立ち上げる時、多くの人材を外部から登用することがあります。今までと扱い分野が異なる場合には必要不可欠です。医学の分野は学問的にも細分化されています。生化学領域を中心に事業を行ってきた企業が血液分野に進出しようとしたとします。専門特化した社員なくして新規事業は始められません。社員を養成している暇がありません。少しくらい給与が高くても、見合う売上が見込めれば、いとも簡単に中途採用を行います。逆もあります。別の機会で詳細に紹介しますが、製品が思い通りに売れない時には、容赦なく社員の異動・転籍・左遷を実行し、自ら辞める環境作りを行います。【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年2月18日 (土)

外資系企業を志す⑤身だしなみに気をくばる

 若い人のルックスで「よれよれルック」というのがあるかは知らないが、あまり極端な服装・髪型・靴は止めたほうがいいでしょう。TPOをわきまえ、仕事着と遊び着を分けるのが常識です。普段着用する背広は、地味でなく派手ではなくちょうどいい服装を心がけましょう。何が丁度よく、何が派手なのかを考えるヒントは他人の服装の中にあります。他人の服装を観察することで目が養われてきます。電車内で他人の服装を観察してみましょう。とてもお洒落な格好をしている紳士が沢山いるはずです。

 外人の服装を見て、値段の違いからくる品質上の問題は別にして、度派手な背広を着ている人は少なく、むしろネクタイやカッターにアクセントをつけています。日本人の服装は一般的に地味で暗い印象を受けます。グレーか濃紺の背広に決まりきったネクタイ姿がサラリーマンの服装と思っている人の何と多いことか。きっとサラリーマンという言葉の響きがそうさせるのでしょう。

 ノーネクタイは論外として、ノリのきいたカッターに少し明るい感じのネクタイ。ストライプの入った背広ではなく、無地で落ち着いた色模様を選んでみたい。無粋な色柄のカッターには注意したい。センスを磨くには模倣からといわれるくらい、人の服装に常に関心を持ち自分で試してみる。すると思わない発見と制約から解放され着ることの楽しみが拡がってきます。ものは試し果敢にトライしましょう。但しチンドン屋さんにならない様くれぐれもご注意を。

 靴の話に移りますが、別に高価な靴でなければいけないわけではありません。かかとの擦り減った靴、おめおめ昨日の雨に濡れ、白い粉の吹き出た靴は避け様ではありませんか。外人はよく足を机に投げだします。会議中でも隣の椅子にドンと投げ出し、その大きな靴が目前に迫る事があります。習慣としてはどうもいただけません。自分がしようとは思いません。けれどよく見ると彼らの靴は手入れが行き届いており、決して靴そのものに不快感を与えないのです。お洒落は足元からとはよく言ったものです。

 さりげない身だしなみは彼らにとってごく普通のことで、同じスケールで日本人を見ています。あなたは人前で堂々と足を放り出せますか。YESであって欲しい。【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

外資系企業を志す④社内は外国圏

 意思疎通としての英語が喋れないといつまでたっても外人アレルギーは解消されません。英語が上手いか下手かは別にして、会社の廊下や会議など外人と接する機会には積極的に挨拶をしましょう。英語が話せないと外人に一言も言わない人がいますが、心がけひとつでコミュニケーションはいつでもとれるものです。朝合ったら「Good Morning」くらい誰でもいえる筈です。一度口に出して言えば度胸がつきます。少し慣れたら「Good Morning Mr.Jim」などと名前を付けて挨拶しましょう。さらに「How are you doing,Mr.Jim」(ジム元気?)などと気軽に声をかける心の余裕を持ちたいものです。良くある光景ですが、すれ違っても目礼するだけの日本人をみて、外人は不思議なものを見る思いでいるのです。本当は話し掛けて欲しいと思っています。顔と顔を合わせFace to Faceで、目が合ったら笑顔をと一緒に言葉を添えるのが常識です。

 YES/NOを巻頭語にする訓練をしましょう。日常の会話で日本人は、結論から言う習慣がありません。控えめが謙譲の美徳として、自分の言いたい事も相手の立場を考え遠まわしに意見を言う習慣になっています。特に上下関係になるとこの傾向が強くでます。外資系の会議や討議を聞いていると喧嘩が始まったのか思わんばかりの派手な討議が展開されます。米国ばかりではなく、中国や台湾などアジア諸国でもいえることです。自己主張を述べ合う際、相手の意見に賛成か反対かを最初に述べてからその理由を述べています。YES/NOを言ってから議論に入る事を頭に入れておきましょう。営業会議で、当月の売上目標に到達するのか否かを聞いているのに、延々と実はこれがどうであれが問題で等言い訳ばかりを述べる輩には、外人は無能な人としてレッテルを貼ってしまうことがあります。上手くいった、失敗した理由を論理的・客観的に述べる事も大切です。失敗した理由が解れば、彼らはそれ以上追求することはありません。納得できない心情論でいくらわかってもらおうとしても理解を得られません。ビジネスは心情論で行っているわけではないからです。

 社内の慣用語や専門用語には早く慣れましょう。社内には数々の専門用語や短縮用語が使われています。用語に慣れることは仕事をスムーズに運ぶ重要な要素です。必ずしも専門用語だけではなく、社内で使われる短縮用語も早く憶えましょう。外部の人間ではわからない言葉が飛び交っています。この用語を使うことで親しみや理解が早まる事も度々あります。要は言葉に出して言う事が何よりです。あなたも明日から実行しませんか。きっといままでと違ったコミュニケーションが取れるはずです。【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

外資系企業を志す③社長の任期は3年から5年

 「社長が変わるらしい」「こんどはどんな社長かね」「あんな社長早く帰っちゃえ」就任してから3年もするとどこからもなく、こんな声が社員の間から囁かれるようになります。社員から人気のあった社長、孤立無援で奮闘した社長、業績を下げてしまった社長、意気揚揚と本土復帰を図る社長と様々です。

 米国企業の場合、一般的に日本支社の社長ポストは、キャリアパス上では本社の副社長への登竜門と位置付ける企業が多いのではないでしょうか。よく言われるのはヨーロッパから日本のゼネラルマネージャーになり、然るべき業績をあげれば本社中枢のポストに就けるというのが暗黙の了解事項です。

 任期中に所要の業績を達成することが本土復帰の条件となっていますから、社長就任と同時に何をするかといえば、信頼のおける参謀の人選です。どんな優秀な社員であっても、社長と馬が合わなければ蚊帳の外となり冷や飯を食う事になります。彼らが人選する基準は何だと思いますか。

①日常の会話に不自由しないこと

②はい・いいえをはっきり言えること

③仕事に対する挑戦的意欲が高いこと

④忠誠心が強いこと

⑤日本人から信頼されていること

 短期間で課せられた目標を達成しなくてはならないわけですから、参謀を育成している暇はなく、自分にとって助けとなってくれる人が何にも増して欲しいのです。時として社内の人間を外して外部から招聘することも珍しくありません。アメリカでは、大統領が変わるとそのスタッフの大部分が変わります。前の大統領と同じことをしては、個性がでません。前大統領の息のかかったスタッフなど要らないのです。企業も同様で、目的達成にかける社長の意気込みは相当なもので、場合によっては幹部総入れ替えといった事態も起こりえます。中でも新任社長が真っ先に手をつけるのが、前任社長の片腕を外す事です。外人は人一倍競争意識が高く、前任者より半歩でも一歩でも前にでることを考えますから、必ず前任者の方針や管理方式の変更を図り、より独自性のあるオペレーションを好みます。

 社長と共に消え入る優秀な幹部は、一旦下がって次期社長交代を待つか社外に出るかの選択を迫られる事になります。信頼した社長が交代することで、島流しに遭う事も覚悟しておかなくてはなりません。【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

外資系企業を志す②志望動機

 今日も満席のジェット機が成田国際空港を後に、一路目的地に向かって飛び立っています。未だ見ぬ外国に思いを馳せ、機上の人となった感慨はひとしおです。学生時代に海外渡航の経験をしている人が、全国平均で35%くらいだそうです。事実送られてくる履歴書を拝見すると、旅行・語学研修・留学などで沢山の学生が外国に出ていることが解ります。

 採用面接試験で外資系企業への応募動機を聞いた際の典型的な答えのいくつかをご紹介します。

①処遇が良い

②正当な評価をしてもらえる

③やりたい仕事ができる

④好きな英語が生かせる

 学卒面接で決まって答える志望動機は以上の4つに要約されます。どの人も判を押したように答えるので面接官としてはうんざりすることがあります。本音は給料が高いことに魅力を感じて応募したという人が大半です。最近では学生向けの就職試験、中でも面接対処法の講習が著名な企業主催で行われいると聞いています。勿論有料で面接対話応酬法をきめ細かく指導してくれ、特に外資系企業の面接勘どころは人気があるらしいと聞いています。特訓を受けた学生は答えが同じになるので「何処かの講習を受けてきましたか?」と質問すると「はい、実は講習を受けてきました」とその舞台裏を披露してくれます。一旦裏を突かれた質問がなされると、しどろもどろになり、本来答えるべきことがきちんと答えられないことになりかねません。このように定型化された学生は、外資系企業ではあまり歓迎されないことを肝に銘じておきましょう。

①と④は確かに当てはまると思いますが、②と④は日系企業でも同じと考えられます。

 語学に自信がある人といっても、専門知識や製品知識が無い人が入社早々からフルに英語力を発揮できるかと言えばNOです。コミュニケーションに関して言えば、話せる人はスムーズに組織に溶け込めるといえるでしょう。給料の高さに目がくらんでと言う人は少し考えを改めなければいけません。近年日本の外資系企業でも職務給制度を取り入れる会社が多くなりました。職務給では、そのポジションに携わる仕事が細かく決められており、その職責を果たさなければ評価されません。できなければ降格(等級変更)となります。仕事の出来る人は高給を約束されますが、出来ない人は保証されないのが外資系企業です。【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

外資系企業を志す①はじめに

 外資系企業への転職を志す人が増えています。外資系という「響きが何となくかっこいい」と憧れる若者が多いと聞いています。世界を股に翔け仕事が出来るなんて夢の様な話が本当にあるのでしょうか。答えはYESです。しかしながら、全員がそうなるわけではありません。途中で挫折しドロップアウトする人も沢山います。外資系企業を志す上で理解しておいた方が良いと思われる事柄をご紹介したいと思います。

 米国系大手製薬会社に約20年勤務した経験から、その内実をご紹介し転職の参考になればと思いこれから話を進めていきます。特に退職前の数年間、採用・研修・評価・人材育成等を担当し、新卒や中途採用に携わってきました。MBAの採用でシカゴ・ニューヨーク・ボストン・サンフランシスコ・ロサンジェルスにも出かけたことがあります。思いで深いのは、アリゾナ州フェニックスに出かけた時のこと、アジアパシフィック人事総括マネージャーに同行し、サンダーバード大学院訪問のため空港に降りたちました。着いたのはすでに夜8時頃、レンタカーを借りホテルに向かった我々は道に不案内であり、現在の様にナビゲータなどありませんから頼りは地図だけでした。フェニックスはご存知かも知れませんが、西部劇ローハイドで有名な街で、大きなサボテン(カクタス)が道路の両脇に立つ外灯もない真っ暗闇の道です。何も無い荒野の街道をひたすら走らせました。ところがどう間違ったのかいけども行けどもホテルの灯りを見出せず、到着したのが真夜中に近い11時過ぎでした。レストランも閉まり、売店もなくひもじい思いで寝床に就いたのを覚えています。

 ワールドワイドでビジネスを展開している企業は、国内の日本人のみならず外国で学ぶ日本人の採用にも積極的です。ハーバード大学院などにもたくさんの日本人が留学しています。これから世界に羽ばたこうと大志を抱いている方にはエールを送りたいと思います。そのためには周到な準備と外資系企業の内実を知る事が肝心です。【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年2月12日 (日)

在宅検診のすすめ(医療費抑制策)

 政府は2月10日、医療制度改革関連法案を閣議決定し国会に提出しました。改革の目玉は、①高額医療は負担増②75歳以上に新保険③保険料に地域格差で、国民に更なる医療費の負担増を求めています。特に高齢者、75歳以上には独立型の新たな健康保険の創設が盛り込まれ、その負担率も2割から3割へとなっています。国民皆保険の原則が受益者負担である事から当然と言えばそれまでですが、ますます高齢者の住みにくい環境になってきました。膨らむ医療費の抑制を考えると止むを得ないと思う反面、高齢者バッシングとなりつつある日本で、定年後の安定した健やかな暮らしなど望むべくもないのでしょうか。

 従来、医療費抑制策ばかりに目が向き、予防という観点は置き去りにされてきた感があります。技術料や薬価・検査の抑制に重点を置き、改定ごとに診療費の引き下げを実施してきましたが、それでも追いつかない医療費の膨張に政府は悲鳴をあげ、ついには聖域と言われた高齢者の診療報酬基準にも手をつけました。一旦足を踏み込んだ聖域はもはや聖域ではなく、泥沼式にどんどん負担増に突っ走ることでしょう。いやはや住みにくい世の中になったものです。

 最近、大きな話題のひとつに生活習慣病の温床となる「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群)があります。今回の医療費改定にも健診・予防に照準をあて、健康管理や病気予防に積極的に取り組む事が盛り込まれています。この際、医療費抑制の一環として予防医学に目を向ける事を提案したいと思います。

 まず国民ひとり一人が、「自分の健康は自分で守る」という意識の改革をすべきでしょう。病気になる前に(事前に)健康状態を定期的にチェックすることが大切です。また、そのための多少の支出を覚悟する事も必要になります。予防医学が定着すれば、必ずや医療費抑制に貢献できると確信します。

 予防医学も進み、手軽に僅かな金額で自分の健康状態を知ることが出来るようになりました。ある会社の健保組合が社員家族を対象に在宅健診(指先から僅かな血液を採取して、指定の検査機関に郵送すると、後日検査結果が得られる)制度を取り入れました。その狙いは、社員の働きを支える主婦の健康維持を支援すると共に、増加する一方の医療費削減に向けたいというものです。病気になる前に健康状態を調べることで、仮に何らかの疾患が疑われる人でも軽微な内に発見する事で、費用も時間も少なくすることができるのです。これぞ個人にとって、更に国の医療費抑制にとって一挙両得です。個人経営者や中小企業にお勤めの方でも在宅血液検査サービス会社や既に市販されている各種検査キットを利用すればいつでもご自分の健康状態をチェックすることができます。医療費の抑制策は、予防医学にかかっていると言って過言ではありません。

 お誕生日や記念日に献血と併せ在宅健診サービスを取り入れてみませんか?幾ばくかの出費と心構えで健康な日々と健全な医療制度が維持されるとしたらやってみる価値があります。皆さんはどう思われますか?【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年2月 5日 (日)

ゆとり教育改定に期待

 文部科学省は17日、学習指導要領を平成19年度に改訂する方針を盛り込んだ義務教育の構造改革の行動計画(教育改革のための重点行動計画)を策定しました。

 ゆとり教育を掲げた現行の学習指導要領は小・中学校で14年度から、高校で15年度から実施されたもので、わずか3~4年で破綻したことになります。ゆとり教育実施当初から懸念された基礎学力の低下に歯止めがかからず、今回の改定に至ったもので文部行政に翻弄される子供達のことを考えると胸が痛む思いです。

 あれほどまでに議論して導入されたゆとり教育ですが、導入した時の意気込みはどうなったのでしょうか。予想された事とはいえ、ますます子供達の学力の二極分化が進みました。2・6・2の原則が崩れ、3・3・4へシフトしてしまいました。学業成績の普通の子供が減り、不足の子供が増え、一部の子供達が成績を伸ばしている様に思えます。

 ゆとり教育で学習塾通いを止めた子供が沢山います。一方で偏差値の高い私立校へ進学しようとする子供達は、以前にも増して勉学に励んだ結果、実力の差は歴然です。国の方針に拘わらず勉強を続けてきた親子は、きっと「ヤッパリ!」としたり顔で今を迎えていることでしょう。ゆとり教育開始に伴って発行された教科書が内容と共にページ数が薄くなり、絵や写真が多用され、解り易くなったものの質は明らかに落ちました。また、学習する内容を削ってゆとり学習を導入した訳ですが、多くの学校でその時間に何をしてよいのか解らず、右往左往して形ばかりのゆとり教育を実施してきたツケが今回ってきました。

 当時の諮問委員会のメンバーや行政担当者そして文部科学省の方々は、この現実をどう考えているのでしょう。一部有識者といわれる方々がゆとり教育の有用性を口角泡を飛ばして説いていた姿を思い浮かべます。

 大人の都合で子供達の将来が振り回されることがない様、今回の改定ではしっかりと議論し、日本の将来を担う子供達を育て上げられる指導要領を策定して欲しいものです。【了】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年1月 | トップページ | 2006年3月 »