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2007年2月24日 (土)

ゴミ分別回収義務違反者に罰則化に疑問(横浜市条例改正の動き)

 横浜市では、中期政策プランで循環型社会の実現に向け「平成22年度における全市のごみ排出量を平成13年度に対して30%削減する(横浜G30行動宣言)」という具体的な目標を掲げ、その実現に努力した結果、所期の予想を上回る成果を挙げています。このまま推移すれば目標達成が前倒しできそうな勢いです。中田市長のマニフェストに賛同した、市民の同意と協力の賜物であると思います。

 そんな中、横浜市では、ごみの分別ルールを守らない市民及び事業者に対し、罰則(過料)を設けることを検討しています。正式には「横浜市廃棄物の減量化、資源化及び適正処理に関する条例の改正」で、ごみの分別ルールを守らない市民にはルールを守るよう勧告を行い、勧告に従わなかった時には、勧告に従うよう命じ、命令に従わなかった場合には過料(2000円)を課すというものです。また横浜市では、ごみ問題と並行して路上喫煙問題も議論されています。道路での歩行喫煙や指定区域での喫煙を禁止し、命令に従わない場合には過料(2000円)を課すというもので、嗜好性が高く、危険という現実的な問題から、こちらは支持が得られるものと思います。

 ここで、ごみ問題を喫煙問題と同じレベルで議論しょうとしていることに疑問を感じます。

 現在、横浜市ではごみの分別に細かな基準を設けており(横浜市 ごみと資源の分け方・出し方参照)、各家庭では、それぞれごみの種類ごとに区分けし、指定の曜日にごみ出しを行っています。我が家には、区分ごとにごみ箱があります。冒頭に述べたように、市民の多くが横浜市の政策に賛同し協力してきたからこそ、計画が順調に進んでいると考えられます。一方、どの程度の市民がごみの分別ルールを無視しているかわかりませんが、マニフェストの公約実現のためにはなんでもやるといった市民無視の規制には反対です。規制をかける前にやるべきことがたくさんあると思います。

①なぜ一部市民がルールに従わないのか原因究明

②分別ルールのPRが行き届いているのかどうか

③分別方法・回収の改善策は他にないのか

④高齢者の独居世帯で、したくてもできない人をどうするのか

⑤ルール無視者を監視する体制をどうするのか

⑥過料の2000円の使途はどうするのか

 横浜市資源環境局の資料で、「ごみ処理にかかる費用は?」というデータによれば、平成17年度資源環境局予算は約450億円でした。内訳を見ると、①一般管理費等 220億円(48.9%)②安全な処理と安定したリサイクル 125億円(27.8%)③さらなる運営の効率化と市民サービスアップ 58億円(12.9%)④減量・リサイクルの推進 47億円(10.4%)であるとされています。一般管理費等に約50%もの予算をあてがいながら平然としている役所の姿勢には甚だ疑問です。

 規制や過料を課す事で事態が解決できるとは思えません。規制強化の前にその原因を分析し、問題解決プランを立て、実施した結果のデータを示した上で規制の検討に入るべきです。規制ありきのスタンスでは、事総てがうまくいくとは思えません。それこそ、市民のコンセンサスを得た上で行政を執り行っていただきたいものです。【了】

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2007年2月11日 (日)

臨床開発のアウトソーシング化(耐震強度不足問題に学べ)

 国内製薬業界の再編が加速しています。業界大手の三共と第一製薬が経営統合して第一三共となり、三菱ウエルファーマと田辺製薬が合併することも伝えられています。どうしてこうも製薬会社の合併が続くのでしょうか。製薬会社が国際競争に勝ち抜くには、1000億円以上の研究開発費が必要といわれ、体力のない企業はいずれ淘汰されるという事情が背景にあります。このため、新薬の開発こそが大命題である製薬会社にとって、経費を最小限に抑え、一時でも早く新薬の上市を果たさなくてはなりません。製薬会社として生き残るための壮絶な開発競争が繰り広げられているからに他なりません。

 こうした業界の事情を反映して、臨床開発のアウトソーシング業である臨床治験受託会社(CRO)が大繁盛しています。従前は新薬開発のプロセス全てを製薬会社で行なってきました。通常、新薬の開発プロセスは前臨床試験(薬になりそうな新化合物の発見と動物実験)→第1相試験(少数の患者を対象とした安全性を調べる)→第2相試験(効果と副作用の臨床試験)→第3相試験(大規模な治験)→承認申請(厚生労働省とのヒヤリング)→承認(薬価収載)→市販(新薬として販売)→市販後調査となります。第1相を含む第2相・第3相試験を外部の専門会社に委託するケースが急増しています。いわば臨床開発のアウトソーシング化です。現に治験受託機関の集まりであるCRO協会が組織されるまでになりました。製薬会社は、臨床治験の基となるプロトコール(臨床治験計画書)を作成、実際の臨床治験を外部機関で行なう事によって大幅な治験期間短縮及び経費削減を図ろうとしています。分業化は新薬開発に大きく貢献しています。

 最近、肺がん治療薬イレッサ(一般名ゲフィチニブ)について、「既存の抗がん剤に比較して延命効果がより高いことを証明できないことが市販後臨床試験で明らかになった」と厚生労働省の審議会に報告されました。またこの薬は、発売以来重篤な副作用(間質性肺炎などによる死亡例)により死亡した人が676人にものぼります(2006年9月末)。更に抗リウマチ薬レフルノミド(商品名アラバ)でも間質性肺炎と診断された例が報告されています。このため、臨床開発段階に遡って見直しが進められています。多くの死亡者を出しながら、各界識者の様々な見解があり今でも使用されています。イレッサに関しては被害者の会が組織され、大きな医療訴訟に発展するかもしれません。

 ところで、建設業界では耐震強度偽証問題が社会問題となっています。国会証人のテレビ映像を見た方も多いでしょう。施行会社・設計事務所・認定機関との間で責任のなすり合いを見てきました。そっくり製薬会社・臨床開発受託会社・厚生労働省に置き換えてみるとよもやそんなことはないと思いつつも、製薬業界の臨床治験のアウトソーシング化は重大な危険が孕んでいると考えるのは私一人でしょうか。薬は直接人の命にかかわることです。

 重大な副作用が発生した場合、今までは製薬会社と厚生労働省の責任であったものが、臨床開発受託会社が入る事で一層問題が複雑化することが考えられます。新薬の生命線となる臨床治験が外部機関で行なわれるわけですから事は重大です。不幸にもCROが臨床開発を急ぐ余り、コスト低減のために治験データが捏造(データがなかったことにするも同じ)された時、製薬会社は製造者責任をとるべきであると思います。CROとの責任の擦り合いはもうゴメンです。未だ不幸な事例がない現在だからこそ、関係者には心していただきたいものです。医療関係者のご努力によって、ひとつでも多くの新薬が開発され、患者さんの苦しみを開放して欲しいと切に願っております。【了】

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2007年2月 3日 (土)

神奈川県が全国に先駆け青少年喫煙飲酒防止条例施行

 神奈川県の喫煙や飲食による補導件数は依然として高く、国の調査でも青少年の喫煙・飲酒の経験率が高い状況が続いています。全国に先駆け、神奈川県が「県青少年喫煙飲酒防止条例」を平成19年7月より施行することを県のたより(平成19年2月号No.610ただし自動販売機の成人識別機能設置は平成20年7月1日施行予定)で伝えています。

 条例の主な内容は①年齢確認の一層の徹底②自動販売機対策の推進③青少年に対する勧誘助長行為の禁止④保護者、事業者、県民、県による一体的な取り組みの推進などとなっています。青少年の喫煙や飲酒は心身に悪い影響を与えるだけではなく、さらなる非行や犯罪を誘引する恐れがあり、より効果的な方策を実施することに応えようとするもので、神奈川県の英断に拍手を送りたいと思います。

 効果的なものとするため、施行段階で最も重要な役割を担うのが保護者と事業者であり、十分な意識付けを持ちたいものです。厚生労働省の調査「2004年青少年の喫煙および飲酒行動に関する前項調査」によれば、高校生男子がたばこ・酒類の入手経路は以下のごとくです。(複数回答)

【たぼこ】

1位:自販機 83%、2位:コンビニ・スーパー等 42%、3位:友人からもらった 29%

【酒】

1位:家にある 61%、2位:コンビニ・スーパー等 48%、3位:たばこ屋・酒屋 32%

 調査で分かるように、たばこや酒は家庭と切っても切れないものです。保護者は、子供が喫煙または飲酒すれば臭いや行動・所持品でわかります。気づいたら注意することが大原則ですが、単に叱る・取り上げる行動は、反発を招くだけで効果がないと思います。禁煙・禁酒の理由を何度でも繰り返し話して聞かせることが重要ではないでしょうか。中でも家庭にあるたばこやお酒は、誘惑されやすいものです。大人の喫煙者のいる家庭では、出来れば家の中で喫煙しない、サイドボードに飾ってあるお酒は戸棚にしまう等の工夫も必要です。親が出来るちょっとした心遣いが実行効果をあげるものと思います。

 事業者は、青少年にたばこや酒を売らない・提供しないことです。現状では、自動販売機での成人識別機能装備までにまだ時間を要します。直ぐ出来る事から実行に移したいものです。ちかごろでは、コンビニやスーパーで「青少年には販売しません」との張り紙を良く見かけます。ところが高校生と思しき少年がたばこやお酒をレジに持っていっても身分証の提示を求めている光景は先ず見かけません。今時、張り紙の威圧感にめげる柔な高校生はいません。どうどうと提示を求める様、社内で徹底して欲しいと思います。また、その場に出くわした大人は、店員さんを後押しする勇気をもちたいものです。

 県のたよりには以下のコメントが付記されています。「青少年の喫煙・飲酒の防止のためには、保護者・事業者・県民の皆さんと県が一体的に取り組むことが必要です。青少年の喫煙・飲酒を防止する社会環境づくりに皆さんのご協力をお願いします。」県民ひとり一人が青少年を守り将来の担い手を育成するためにも、家庭でできる身近なことから実行したいものです。条例の施行を待ちたいと思います。【了】

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