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2011年4月18日 (月)

期待されるSGLT2阻害剤(糖尿病治療薬)は本物か

 国民病ともいわれる、糖尿病治療薬の新薬競争が激しさを増しています。すでに糖尿病治療においては、インスリン注射のみならず、作用機序の違うたくさんの薬(スルホニル尿素系薬剤、ビグアナイド系薬剤、αグルコシダーゼ阻害剤、DPP-IV阻害剤など)がでています。その多くは膵臓からのインスリン分泌を促すものや肝臓の糖を作る働きを抑えたりするものでした。ここにきて、今までの作用機序とは全く異なる夢の新薬開発が急ピッチで進められています。

 それは「SGLT2阻害剤(dapagliflozin)」といわれるもので、「余分に摂取したグルコースを体外に排出する」という他の薬にはない特徴を有しています。極論すると「飲んでも」「食べっても」体内に取り込んだ余分な糖を排出してくれるので、食餌療法で苦しんでいる患者さんにとっては、この上ない朗報です。

 SGLT2阻害剤はナトリウム/グルコース共役輸送担体(SGLT)阻害作用をもつ新しい糖尿病治療薬で、SGLTは主に腎臓の近位尿細管に発現します。サブタイプとしてはこの他に、主に消化管、心臓、骨格筋、肝臓、肺、腎臓の近位尿細管に発現するSGLT1と悪性腫瘍や小腸の神経細胞に発現するSGLT3の存在が確認されています。

 ご存じのように、腎臓は血液中の老廃物をろ過して尿として排泄する働きを持っています。血液は、糸球体という毛細血管でろ過され、近位尿細管を通って体に必要なものは血液に再吸収され、不必要なものは尿として体外に排泄されます。この時、糸球体でろ過された原尿には、血しょうと同じ濃度のブドウ糖が含まれており、近位尿細管でブドウ糖が再吸収されます。この原尿中のブドウ糖再吸収の主役が、SGLT2であるということが作用機序として明らかになりました。このため、SGLT2の働きを利用して原尿からのブドウ糖の再吸収を減らしてブドウ糖を尿からより多く排泄し、インスリンとは関係なく血糖値を下げるものです。

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腎臓のイラスト(出典:東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センターHPより)

 糖尿病治療薬としては画期的なもので、血圧上昇や肥満を伴わず、食餌療法にも良いとなればこれほど素晴らしいことはありません。このため、SGLT2の開発競争が激化しています。国内大手の製薬会社はもとより、メガファーマといわれる巨大製薬会社がこぞって開発競争を繰り広げています。主だったところでも、ブリストル・マイヤーズスクイブ、アストラゼネカ、アステラス製薬、グラクソ・スミスクライン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、大正製薬、日本ベーリンガーインゲルハイム等そうそうたる製薬会社が並びます。果たしてwinnerはどの会社になるのか。BMS/アストラゼネカのダパグリフロジンが先行逃げ切りとなるのか熾烈な競争が展開されています。

副作用として鼻咽頭炎、頻尿・多尿、便秘があるようですが、今後更なる解析が行われるはずです。多くのメーカーは、国内での治験フェーズⅢに入っており、早ければ3年以内に新薬として登場するものと思われます。【了】

■■■■■■補足記事 2012/5/20■■■■■■

 当記事の閲覧数が高いことから、筆者が参加したN社の治験結果(第Ⅱ相)を元にその印象を述べ、参考に供したいと思います。結論から言えば、約1年間の治験結果は【満足】のいくものでした。

なお筆者は糖尿病・高血圧・高脂質血症のため服薬治療中です。治験期間中、SGLT2阻害剤を毎朝1回(糖尿病)、ノルバスク錠2.5mg・オルメテック錠20mgを毎朝1回(高血圧)、クレストール錠2.5mg(高脂質血症)を毎夕1回服薬、運動療法及び食餌療法に心掛けました。

治験段階で効能効果を論ずることはできませんので、あくまでも筆者の印象としてお受け止め下さい。

Hba1c 測定値(%)を10.0とした場合→7.30

空腹時血糖値 異常値→正常値内

体重  約2kgの減量

胴周  88.5cm→86cm

クレアチニンを除き他の生化学的検査値はいずれも正常値内で推移し、心配した低血糖症状もなく、他の副作用の自覚症状(頻尿・多尿、便秘など)はありませんでした。ただクレアチニンクリアランスが低値を示したのが気がかりな点です。第Ⅲ相を経て、特段の副作用情報がなければいずれ承認申請されるものと考えられます。いよいよ夢の新薬登場なのでしょうか。【了】

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