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2012年2月25日 (土)

がん検診受診率50%目標は達成できるのか

 「笛吹けど踊らぬ国民」に苛立ちを感じている厚労省と自治体の担当者の顔が浮かんできます。厚労省が目標として掲げる、がん検診受診率50%が到底達成できそうにないからです。少ない予算から啓発活動に力を入れても人々はそっぽを向いたままです。

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厚生労働省が「がん対策推進基本計画」で、今年度末までに受診率を50%以上に引き上げる目標が困難な状況になっている。2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなる時代にもかかわらず、受診率が改善しないためだ。個人の意識は無論、今後は自治体、企業も早期発見というがんを治す決め手となる検診の有効性をもっとアピールする必要がある。がんは1981年以降、日本人の死因のトップを占める。しかし早く発見して治療すれば治る可能性は高く、治療効果の指標となる「5年生存率」も格段に上がるとされている。

 だが、昨年公表された2010年の国民生活基礎調査によると、受診率は地方自治体の住民検診と企業が実施する職域検診を合わせて20%台と低迷。最も受診率が高い胃がんでも男性34・3%、女性26・3%にとどまり、肺、大腸、子宮、乳がんとなると3割を切る。このため厚労省は「今年度中の50%以上という目標達成はかなり厳しい」と予測する。(千葉日報2012/2/12付社説)

 千葉市では住民健診で改善がみられ、10年度は27・1%と前年度を4・2ポイント上回ったものの、まだ30%には届いていないと報じています。また、厚労省によれば、平成19年に実施された「国民生活基礎調査」による日本のがん検診受診率は、男性においては、胃がん、肺がん、大腸がん検診の受診率は30%程度であり、女性においては、乳がん、子宮がん検診を含めた5つのがん検診の受診率は20%台前半となっており、特に子宮がん、乳がんについては、検診受診率が低い状況にあるとしています。これらの数字を見ても約30%から50%に引き上げるのは至難の業という状況です。

まずは職域健診で50%達成を!

検診を受診しない理由として、「忙しく、土日に検診をやっていないから」という回答が多く見られます。そこで、実際に土日に検診を実施した自治体もあったのですが、受診率はほとんど上がりませんでした。このようなことから、忙しいというのは検診を受診しない本当の理由ではなく、面倒くさいとか、優先順位が高くないということが一番の理由なのではないかと考えられます。また、自治体の広報紙などを読まない方もいらっしゃるため、市の検診で受診できることを知らない方も多いようです。難しい取組を行うのではなく、個別に受診の勧奨をきちんと行っていくことが何よりも大切です。 (平成23年度第5回横浜市ティーミーティングより抜粋)

住民健診の受診率向上を図るには市民ひとり一人の思いや考え方を変える必要があります。しかし多くの場合、発症する間際まで自覚症状がなく、仮に定期健診を受けていても100%検出されるとは限りません。このため、早期発見早期治療に心を向ける人が少ないのが現状です。今後も長い時間をかけ啓発活動に力を注ぐ以外に方法はありません。

それならばいっそのこと職域健診に焦点を定め、企業の協力を得ながら、がん検診率向上を進める方が実現可能性が高いと言えそうです。企業と健保組合で積極的に取り組むケースが増えてきました。半ば強制的にがん検診を行い、その効果を実践し、その有意性を本人→家族→親族→知人と輪を広げていくことの方が早道のような気がします。職域健診でできないことが住民健診でできるとは思えません。【了】

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2012年2月12日 (日)

診療報酬改定で出費がますますかさむ?

2012年度診療報酬改定の骨子が示されました。診療報酬全体のプラス改定で、患者負担が総体で上がることになります。大病院は重症患者中心、風邪・擦り傷などの軽症者は診療所、病院から在宅医療へ移行ということが骨子となっています。

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受診する者にとって改定内容が気になるところであり、いくつかの項目を「現行と改定(新設含む)」を比べてみました。

●外来初診料

大学病院など大病院(200床以上)に罹る場合には紹介状持参が原則です。中には近いからとか、大きな病院なら安心できるとして紹介状なしで受診する人がいます。紹介状なしの患者さんには外来受診料2,700円を徴収しています。(病院によって選定療養費5、250円を徴収されます。)今回の改定ではこれを2,000円に下げ、下げた700円を患者の自己負担するとしています。より一層「軽い症状なら開業医へ」と誘導しようとの狙いです。3割負担の人なら810円から1、300円となります。

現行;保険適用の初診料2、700円

改定;保険適用の初診料2,000円+自己負担700円

●同日他科受診

同日に他科を受診する(例えば内科と耳鼻咽喉科など)ケースが多々見受けられます。従来は再診料が不要でしたが別途2ケ所目で340円支払わなければなりません。さほど必要としない高齢者の掛け持ち受診を抑制する狙いがあります。

現行;同日他科再診料なし

改定;2ケ所目で再診料340円

●小児集中治療室入院料

重篤な小児患者に使われる、小児専門の集中治療室(PICU)不足が叫ばれています。背景には様々な要因が考えられますが、高額と思われる入院料が新設されました。7日間までは1日あたり155、000円の入院料を支払わなければなりません。症状によって否応なくPICUに運び込まれた場合、その親には負担が重くのしかかります。(患者は1~3割負担)

現行;なし

新設;1日155,000円

●緊急時の往診

緊急で往診を頼んだ際にとられる往診料が上がります。往診で救われた人や非常に助かっている人も多いと思います。その利便性の代償として、1、950円が2、550円と約3割の値上げです。

現行;6、500円

改定;8、500円

これ以外にもいくつかの変更が見られます。要約すれば「病人の棲み分けと在宅医療へのシフトをいかに効率的に行うかに焦点を絞った改定」と言えます。とりわけ在宅医療で中心となる「地域包括ケア」の整備がきちんと行われるかが大きな課題です。いつものことながら総論賛成・各論反対によって、改定の趣旨が生かされないとすれば、国民不在の診療報酬改定と言わざるを得ません。【了】

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2012年2月11日 (土)

オーファンドラック(希少薬)開発活性化の訳

オーファンドラッグ(Orphan Drug).といわれる希少疾病用医薬品の開発に製薬メーカーが真剣に取り組み始めました。難治性疾患を中心に患者数が少ないため、採算がとれないという理由で開発されずにきた現状が少し変わるかもしれません。是非変わって欲しいものです。

メーカーの狙いは、ズバリ!「新薬創出加算(新薬創出・適応外薬解消等促進加算)制度」の恒久化への期待からです。簡単に言えば、特許が切れていない新薬の薬価を特許期間中は据え置くというものです。2014年度までの試行導入とはいえ、薬価改定の度に切り下げられる現状からすればメーカーにとってはこれほど旨みのある話はありません。

試行期間の延長を求める業界団体は、当制度を恒久化すべき働きかけを今後強めるものと考えられます。

中央社会保険医療協議会の薬価専門部会(部会長=西村万里子・明治学院大教授)は14日、日米欧の製薬団体と日本医薬品卸業連合会の4団体から、2012年度薬価改定についてヒアリングを行った。この中で、日本製薬団体連合会(日薬連)の庄田隆会長(第一三共会長)は、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の試行期間を14年度改定までの2年ではなく、4-6年とするよう求めた。また、長期収載品(後発医薬品のある先発品)の薬価の追加引き下げに「大変大きな懸念を持っている」と表明した。   

前回10年度改定で試行的に導入された同加算について、4団体は8月に行われたヒアリングの際、本格導入・恒久化を要望。2日の同部会の議論では同加算を継続することが大筋で了承されたものの、本格導入・恒久化については「時期尚早」などの意見があり、12年度改定でも「試行的実施」を継続することが濃厚となっている。(CBニュース 2011/12/14)

一方、12年度も試行継続が決まっている中、日本病院団体協議会などから制度の検証を求める声があがっています。

本病院団体協議会(議長=西澤寛俊・全日本病院協会会長)は27日、代表者会議を開催した。中央社会保険医療協議会(中医協)の万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)による中医協での2012年度診療報酬改定作業の進捗状況の説明を受け意見交換し、出席者からは、「試行的導入」の継続が決まっている新薬創出加算について、効果の検証を求める声が相次いだ。(CBニュース 2012/1/27)

患者にとっては制度を別にして早期の開発を希望するオーファンドラックです。また、制度の恒久化はメーカーにとっては追い風となるものですが、まだ議論を呼びそうです。今後の展開を注視したいものです。【了】

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2012年2月 6日 (月)

患者の権利オンブズマン東京・年度総会記念講演会を開催

患者の権利オンブズマン東京主催の2012年度総会記念講演会が来る3月3日(土)、東京医科歯科大学講堂で開催されます。ひとりでも多くの方の参加を呼びかけています。

【どなたでも参加できます! 事前申込不要・参加費無料】

               記

演題:「医療を受ける権利を守るために~外国人医療から見えてくるもの」

講師:沢田貴志医師

   (神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所長)

日時:2012年3月3日(土)14時~15時30分

場所:東京医科歯科大学医学部A棟地下1階臨床講堂

   (最寄り駅:JR・丸の内線 御茶ノ水駅)

☆港町診療所で、弱い立場にある外国人に対する医療に取り組まれている沢田医師が、外国人医療から見えてくる現在の医療の問題点と人々の医療を受ける権利を守るために 医療者と患者・市民がどのように連携していくべきかについて講演します。

主催:患者の権利オンブズマン東京 http://kanjakenri.com/
   

 

☆これからの日本の医療の在り方について考えたい人にとって必聴のお話です。【了

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2012年2月 4日 (土)

60歳過ぎても五十肩とはこれ如何に?!

 昨年の晩秋を迎えるあたりから突然肩や首に痛みを覚え、その痛みに耐えられない日々が続きました。じっと座っていても、横になっても、さらには歩くと、電車にゆられると激しい痛みに襲われるといった具合です。その原因はなんと五十肩でした。60歳を過ぎても五十肩とはこれ如何に?!

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(写真:自然界の営みは人間も同じ)

五十肩(frozen shoulder)は、肩の痛みと運動制限をきたす疾患で、①肩に疼痛(痛み)と運動障害が起こる②患者の年齢が40歳以上で発現③老化以外に明らかな原因が分からない、これらを総称して五十肩あるいは肩関節周囲炎と言います。

症状の程度は人によって違い、治験でお世話になっている医師は完治まで1年もかかったそうです。医者でも逆らえない五十肩、厄介な病気なのです。発症から約3ケ月、身体的制限と精神的苦痛に悩まされ、やっと普段の生活に支障のない状態となり、ブログの更新ができるまでになりました。

【身体的制限】

1)なにもできないもどかしさ

突然襲った肩周辺の痛みに違和感を覚えたのはもう3ケ月前のことです。パソコンの使いすぎかなぐらいとしか思っても見ませんでした。すると経過とともに腕が効かない(上げられない、後ろに手を回せない)、動くと肩から首にかけ激しい痛みに耐えられない状態となりました。それこそ何もできない状態です。

2)不断なく痛みが襲う

最初は鈍い痛みから次第に肩中心部からキリで刺されるような痛みに変化しました。肩周辺から首周りに及び動くとピリッとした痛みが走ります。その上、両肩に鉛の重しがかかっている様な感じが24時間続きます。痛みの辛さを実感しました。ふと、終末医療おける疼痛のさまを思い描きました。

3)QOLの低下を実感

痛みで何もできないのですから当然の帰結として、寝れない、座っていられない、外に出れない、などQOLが急激に低下します。最大の苦痛は夜寝れないことでした。仰向け、横向け、座り寝どれもNGで、枕を抱えて寝れない夜をまんじりと過ごす辛さは経験した人でないと分かりません。人生の試練と考え耐え忍びました。

【精神的苦痛】

1)不安との闘い

「この痛みから解放されないのではないか」「いつになったら普通の生活ができるのか」「いつまでこの痛みに耐えなければならないのか」と、見えないゴールにいささか閉口しました。

2)じっとしていることの辛さ・惨めさ

健康体ならなんでもないことができず、じっとしていることの嫌悪感と絶望感は言葉で言い尽くせない辛さであり惨めさを感じます。

3)痛みは他人には分からない

外見上は病人には見えないので、痛みを一人耐えるしかありません。どこそこが痛いといっても家族にあたっても仕方ないことです。「痛い」ということを伝えられないもどかしさを痛感しました。

【治療体験記】

藁にもすがる思いで医療機関を訪ねた人が多いと思います。五十肩の症状は人によりさまざまだそうで、特効薬はないというのが現状です。筆者の受けた治療内容は以下の通りでした。

●ステロイド注射

右腕が上高くあげることもできず、後ろ手を組むこともできずじっとしていても肩の中心からキリモミするような激痛が走ります。こうなるとお手上げです。初診から3~4回ほど痛み止めの局所麻酔薬とステロイドを関節内に注射し炎症を抑えてもらいました。(ステロイドの抗炎症作用は強力ですが、副作用もあるので数回の使用にとどめるのが一般的です。)

注射して暫くは痛みが治まるものの数時間すると元のもくあみで、ひたすら耐える日々が続きました。

●鎮痛剤投与

最初は鎮痛剤「ロキソニン錠60mg」と胃腸薬「ムコスタ錠100mg」で耐え忍びましたが、薬効なく心身ともにダウン。その後、鎮痛剤「リリカカブセル錠75mg 」を追加してもらいました。すると効果てき面で薬が作用している間は痛みを忘れることができました。あくまでも対症療法の域をでないので、時間と共に痛みはぶり返してきます。ただ、リリカを処方されてからグッと改善されました。(できる限り用法しないことが医師からのアドバイスです。)

※参考情報 「長く残る痛みに新薬 神経をしずめ脳への伝達抑える」2012/2/8朝日新聞

http://digital.asahi.com/articles/TKY201202070195.html?ref=comtop_middle_open

貼り薬「モーラステープ40mg」も対象療法として効果的でした。ひどい痛みの時は、肩甲骨から首筋にかけて左右2枚貼ることで睡眠が楽になりました。ただ、テープは自分で貼れないのが難点でした。(かぶれには要注意です。)

●低周波治療

肩・首周辺にセンサーを取り付け、低周波電流を流すものです。電流が流れるたびにピク!ピク!と皮膚が踊るような感覚を受けます。、体の特定部分のみに電気を流して、その部位を活動させることで堅くなってしまった筋肉を和らげて血行を良い状態にし、溜まっている疲労物質等を流して排出されるように促すというものです。また電流を流すと神経も刺激するため、脳への痛みの信号を抑える効果もあるといいます。

●マッサージ

ゆっくりと肩や首回りをマッサージしてもらうと、気持ちの良いものです。ただ、その効果は疑問で直ぐに元に戻りました。リハビリ効果を決して否定するものではありませんが、こと五十肩の場合、痛みが伴っているので、服の上から軽く撫でる程度です。低周波治療と合わせて15分で800円(個人負担分は1/3)は費用対効果として?でした。

【医者選び】

 フィーリングの合わない医者は変えるべきです。途中から、自らの意思で別の医師へ変えました。最初の医師は注射好きで、何かというと「注射しましょう」といい、「俺に任せろ」的な対応に辟易したこと(インフォームドコンセント不足)がその理由です。次の医師は良く話を聞いてくれ、症状の説明も丁寧で、妙な「親密感」を抱きました。五十肩の治療では精神的な相談に乗ってくれる医師が必要です。合わないなと思ったら医師を変える選択(セカンドオピニオン)も必要です。未だ完治に至っていませんが痛みから解放された喜びは格別です。普通に生活できる幸せをこれほど感じたことはありません。

治療効果もなく、鍼灸やマッサージを含めあらゆる方法を試している流浪患者が多いと聞きます。今、五十肩と闘っている方には「必ず良くなる」と信じて治療に専念されることをお勧めします。【了】

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