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2012年7月14日 (土)

製薬企業の意向が大きく働いた?抗がん剤救済制度見送り

 13日、新聞各紙は「抗がん剤による副作用被害を受けた人の救済制度の創設を議論していた厚生労働省の有識者検討会が、【現時点で結論が出せる段階ではない】とする意見書をまとめ、制度創設は見送られる公算が大きくなった」ことを伝えています。

 抗がん剤は、もともと副作用が強いことを患者が承知の上で使用することを前提として、現行の副作用救済制度から除外されているものです。また、救済制度の原資は製薬企業からの拠出金で賄われています。イレッサの副作用による訴訟は周知のごとくですが、たくさんの患者が死亡するという悲しい薬害事件です。この事件を契機として「抗がん剤」の副作用による救済制度を検討すべきだとして始まった厚労省の有識者検討会には患者団体から強い関心を集めてきました。しかしながら、「時期尚早」「因果関係を特定しにくい」「基礎的データが不足」などとして、検討会が結論先送りを決めたものです。因果関係を特定しにくいとか基礎的データが不足などという説明には「抗がん剤の化学治療は分からないことだらけ、がんになったら諦めろ!」といわれているに等しい気がします。

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 一番問題なのは企業の拠出金に頼っている現行の制度で、今回の結論は従前から予想された「想定内」となりました。抗がん剤は強い副作用のあるものという立場をとる製薬会社としては当然の結論であり、抗がん剤を稼ぎ頭としている多くの製薬メーカーはホッと胸を撫で下ろしていることでしょう。

 副作用のない抗がん剤の出現には相当な時間がかかりそうです。3年から5年、いや10年以上先かもしれません。ましてや完治する時代はいつくるのでしょうか。5年生存率がどうのこうのといっている現在、夢の新薬は未だ先が見えていません。このままでは抗がん剤の副作用によって死亡事故が発生しても救済措置はなく、「あきらめる」しかないようです。少しでも状況を改善すべく、製薬会社からの拠出金方式を止め国費扱いにはできないものでしょうか。救済制度が紐つきでは抜本的な改革は望めません。行きずり殺人でも国から犯罪被害者等給付金が支給されるようになりました。金額の多寡は別にして、国が幾ばくかの補償を行う姿勢を見せることが必要だと考えます。但しこの場合、製薬会社にペナルティを課す必要が生じます。【了】

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