« マンションの防災体制は万全ですか?自然災害に備えよう! | トップページ | 盛り上がりに欠けた新横浜パフォーマンス2012 »

2012年10月16日 (火)

患者の権利を考える!病院の医療安全体制はどこまで進んだか

 10月14日(日)、患者の権利オンブズマン東京の合宿研修会が飯山温泉「美登利園」(厚木市)で開催され、谷亀光則医師(前東海大学医療安全室長)よる「医療安全や苦情解決システムについて」と題する講演がありました。

 患者の権利オンブズマンは保健・医療・福祉分野における患者の苦情が患者の権利を擁護しつつ、患者・家族と医療従事者との誠実な対話を通じて、迅速・適切に解決されるよう相談員による相談・支援活動を行い、必要な場合オンブズマン会議による調査・点検・勧告などを実施し、保険・医療・福祉システムの改善と質の向上を図ることを目的とする団体で、自立支援を原則にしています。

 最近、大学病院や基幹病院を中心に「患者の権利尊重」を掲げ、医療安全部署を設置する医療機関が増えました。これは患者にとっては望ましいことで、看板倒れに陥ることなく機能を最大限発揮して欲しいと思います。「患者の権利」尊重の医療を積極的に取り組む、東海大学病院医療安全室に勤務した経験を谷亀(やがめ)医師独自の切り口で解説されました。患者側からすると、病院という密閉された組織を窺い知ることはなかなかできません。そこからは日々苦闘している姿が垣間見えてきます。

●医療安全体制

東海大学附属病院では他の部署と独立する形で医療監査部が設置され、定期的な安全委員会の運営を行っています。月次で開催されるのは、医療安全管理委員会、インシデント・アクシデントレポート検討会で、隔月ではリスクマネージャー会議やカルテ監査、医療サービス改善委員会などがあります。

検討された結果を元に周知徹底を促すため教育研修にも力をいれています。医療安全・感染防止セミナー(8・12月を除く毎月)、eラーニング、4病院医療安全連絡会(年5回)などで、4月9日には医療安全の日セミナーが開かれています。

●インシデント・アクシデント報告制度

2010年度のインシデント・アクシデントの届け出件数は5、489件で、その主なものを分類すると、処方・与薬(28.1%)、ドレイン・チューブ類の使用・管理(24.0%)、療養上の世話(10.3%)となっています。最も多い処方・与薬の内訳は末梢静脈点滴(過剰輸液)、内服(無投薬・未実施・忘れ)、中心静脈注射(過剰投与)などです。インシデント・アクシデントレポートの経時的分析から標準偏差の3倍を超える時は要注意として監視を強めています。

人間はミスを犯す、無事故が続くほど、自動化が進むほど、危険に対する警戒心や感性が低下する、新しい便利のものができると、必ずそれに伴う新しい危機管理が必要となる。このためには、ハード(施設・設備・機器)、ソフト(システム組織・マニュアル)、ヒューマン(教育・訓練・安全意識)を万全なものとしなくてはならないとの考えで、失敗を分析し、失敗を活用するとの観点から、届け出のあった報告を精査し日々の作業に反映させています。

●逃げるな!隠すな!嘘つくな!

もし医療事故が発生したら「逃げたい!隠したい!嘘つきたい!」と思うのが人間の心理です。自身が加害者となり目の前の患者が死亡したら頭が真っ白になって茫然自失・思慮不能となってもおかしくありません。しかしこんな時こそ沈着・冷静な判断が求められます。

このため、医療事故が起きてしまったら「逃げるな!隠すな!嘘つくな!」を徹底しています。また、隠蔽工作、情報操作・診療記録の改ざん、組織ぐるみの関与、マスコミに対する不適切な対応などを行うことで後からとてつもないツケが廻ってくることを教育研修を通して全職員に周知徹底を図っています。これは過去に起きた不幸な事故を教訓に導き出されたものと考えられます。

 患者(家族)への正直な説明と人間関係(Patient)、保健所への報告(Public)、マスコミへの対応(Press)、警察への届け出・特に死亡時(Police)の4Pが非常に大切であるとも述べていました。医療の世界ではどんなに万全な体制をとっても100%安全または結果が出るとは限りません。患者の権利を楯に医療過誤と称して吠え続ける一部の不埒な輩(モンスター)が医療安全スタッフの精神的な負担あるいは脅威となるようなことがあってはなりません。答えのない不毛の争いは双方にとって不幸なことです。【了】

■参考情報

患者の権利オンブズマン東京 http://kanjakenri.com/index.html

にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ
にほんブログ村

|

« マンションの防災体制は万全ですか?自然災害に備えよう! | トップページ | 盛り上がりに欠けた新横浜パフォーマンス2012 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/122936/55747330

この記事へのトラックバック一覧です: 患者の権利を考える!病院の医療安全体制はどこまで進んだか:

« マンションの防災体制は万全ですか?自然災害に備えよう! | トップページ | 盛り上がりに欠けた新横浜パフォーマンス2012 »