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2012年11月24日 (土)

厚生年金基金制度破綻の責任はどこに?

 厚生労働省は、国に代わって公的年金の保険料の一部を運用する厚生年金基金の制度を将来的に廃止する方針であることを発表しました。これに伴い、約1兆円1000億円といわれる積立金の不足分を、厚生年金の保険料で穴埋めする案が浮上しています。

 厚生年金基金は老齢厚生年金の報酬比例部分(加入時の給与および賞与に応じて支給される部分)を国に代わって運営し、この国の代行部分に業界独自のプラスアルファ分を上乗せして、厚生年金の給付水準よりも高い給付を行い、あわせて福祉施設事業を行うことにより、加入員および年金受給者の老後生活の安定と福祉の向上を図る制度です。

 国の代行部分の給付を100%とした場合の、基金の上乗せ給付の厚みは21.8%となっています。(基本年金プラスアルファ部分…1.4%、加算部分…20.4%)経済情勢の悪化によって代行割れに陥った厚生年金基金は577のうち287(11年度末)にも及びます。厚労省は、①返済額を減額し、差額を厚生年金保険料で補填する②返済期限(現行15年)を延長して企業側に自己責任で返済させる、との2案を示しています。

 「不足分をとり立てたら企業が潰れる恐れがある」という事情は分からなくもありませんが、だからと言って厚生年金の保険料で穴埋めするのはどう見ても理不尽です。一方、潰れたら結局負担するのは国民なのだから同じという意見もあるようです。今までさんざん甘い汁を吸っておきながら、経済情勢の悪化とはいえ赤字になったから何とかしてくれは道理が通りません。また、その補填に厚生年金の保険料を使う、法的根拠はどこにあるのでしょう。まずは自己責任によって措置されなければなりません。

●不足分を穴埋めする。

●年金支給額を減額する。

●責任を明らかにする。

 「返済期限(現行15年)を延長して、ペナルティを課した上で企業側に自己責任で返済させること」が極めて穏当な方法と考えます。振り返れば「厚生年金制度」も発足時、100年は安心と言われました。ところが今やこの体たらくです。一生懸命保険料を支払ってきた人にとっては詐欺にかかったようなもので、結局泣きをみたのは被保険者でした。このため、年金をあてにした生活設計を見直せざるを得ない人が続出しました。当事者の責任を問うこともなく国が安易に物事を決め、そのツケを国民に求めるという、なあなあな風潮に義憤を感じているのは筆者だけでしょうか。【了】

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2012年11月17日 (土)

今こそ高齢者犯罪対策に本腰を入れる時

 内閣府の平成24年度版高齢社会白書によれば、「65歳以上の高齢者の刑法犯の検挙人員は、2010年は48、145人と前年に比べほぼ横ばいであったものの、2001年と比較すると、検挙人員では約2.4倍、犯罪者率では約2倍となっている。」と報告されています。

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出典:内閣府 平成24年度版高齢社会白書より

 また、2010年における高齢者の刑法犯検挙人員の包括罪種別構成比をみると、窃盗犯が71.4%と7割を超えていることがわかります。なんとも悲しい現象が今日も繰り返されていると思うと切なくなります。身近なところではドキュメンタリー番組などで、スーパーでの万引き犯を取り締まる保安員の活躍する姿を捉えたものが時たま放映されます。お決まりのように万引き犯(窃盗)は高齢者で、お金はあるのに「つい出来心で」といった謝罪の場面を映し出しています。

 そのプロフィールは、①老婆、②ひとりづれ、③出来心、④現金所持、⑤身寄りがない、⑥家で居場所がない等といったものです。初犯(と思われる)者は謝罪した上で、くすねた品物の代金を支払い、放免されています。金銭的な困窮者はもちろんいるでしょうが、その多くは他の要因で万引きに及んでいる窃盗犯の姿が浮かび上がってきます。お金があっても居場所がない流浪老人が街に溢れることを想像するだけで空恐ろしくなります。重犯となれば検挙され刑法犯として扱われるでしょう。今後、検挙人員はうなぎ登りで増えていくことが予想されます。

 出来心から本物の窃盗犯へとエスカレートする人もいれば、知能をフル回転した窃盗犯もいます。また服役後、行く場所がなく刑務所行きを目的に窃盗を繰り返す人もいるようです。高齢者と窃盗の因果関係を考えると高齢化社会の裏側で深刻な現象が起きている気がします。この10年で65歳以上の高齢者が倍になったわけではありません。高齢者の中でもとりわけ社会弱者(身寄りのない独居老人・趣味・余暇に無縁な高齢者・格差社会の谷間に沈む困窮者・再犯者等)と言われる人々に対する、国を挙げての緻密な施策が必要とされる所以です。【了】

■参考詳報 内閣府 平成24年度版高齢社会白書

http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html

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2012年11月14日 (水)

糖尿病を手術で治す?クローズアップ現代

 12日、NHKクローズアップ現代の「糖尿病を手術で治す」は、その刺激的なフレーズに思わず見入りました。糖尿病患者および予備軍の人にとっては興味深い内容であったと思われます。

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 解説には「予備群を含めて患者数が2200万人にのぼる糖尿病。進行すれば失明、足の壊疽(えそ)、腎不全など深刻な合併症を伴い、死に至ることもある。これまで治療は、薬物療法、食事療法、運動療法が中心だったが、手術で治す方法が世界的に注目を集めている。胃を切って小さくし、小腸をつなぎ替える「バイパス手術」だ。国内でも始まった糖尿病外科治療に密着し、手術の効果を検証するとともに、この医療の抱える課題を考える。」とありました。

 テレビを観た率直な感想は「治療の選択肢のひとつかも知れないが、まだまだ分からないことが多すぎる」というところです。医療の抱える「課題」を考えるとあったものの、手術方法の解説に終始し、課題を焙りだしたとは言えず、術後の副作用をいくつか紹介しただけで、いまひとつ突っ込みが足りなかった気がしてなりません。術後の経過2ケ年ではHbA1cが正常域で安定していることは確かなのでしょうが、今後、胃の大半と、1mもの小腸!の切除による影響がボディブローのようにジワリと影響してくる危険性を孕んでいます。要は食餌制限による方法に変わりなく、強制的に物理的な手術をする必要性があるのかどうしても疑問です。

 高度肥満患者で合併症が疑われ、化学療法では効果的な対処法ができない場合、つまりは肥満治療の最後の一手であり、一般的な2型糖尿病患者への適用は慎重であるべきではないでしょうか。筆者が現時点で手術を選択するかと言えばNOです。また、あまりに症例数(国内81例)が少なく、現時点でセンセーショナルに取り上げるNHKの意図がわかりません。「肥満を手術で治す」がタイトルとして相応しい気がします。まずは、外科療法が糖尿病専門医に認知されない理由がどこにあるのかを掘り下げる必要があるのではないでしょうか。【了】

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