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2014年8月12日 (火)

店頭での血液検査、ただ測ればいいというものでもない!

 最近、血液のお手軽検査が話題になっています。医療機器・診断薬開発の成果がもたらすもので、街頭やドラッグストア、スーパーマーケットでも検査を受けることができます。店頭で測定可能な項目は特定健診の血液検査で確認できる、「血糖」や「HbA1c」「コレステロール」「AST」など8項目で、自分の指に細くて短い針(専用器具)を刺して、採取した微量の血液を簡易測定するものです。12日付、日経新聞朝刊の「血液検査 店頭で手軽に」と題する記事で、今後簡易検査の更なる拡大が見込まれると報じています。売り上げが飽和状態のドラッグストアなどでは集客および新規ビジネスとして注目しているからです。

 費用も1,000円から500円程度と気軽に検査が受けられることは好ましいことです。セルフメディケーションに新たな一石を投じるかも知れません。では、検査を受けたい時にいつでも検査していいのでしょうか?目的によって、いつ測定するかが決まりますので注意が必要です。。

●検査の目的をはっきりさせる

何のために検査するのかはっきりさせましょう。ただ漠然と検査したところで、その結果をどう生かせばいいのか分からないのであればあまり意味がありません。安心のためなら、献血をすれば後日、検査結果を送ってもらえます。測るといっても以下のようにさまざまな目的があることを知っておきましょう。

①健康診断を受ける場合、一般的に空腹時血糖を検査します。これは、概ね9時間以上絶食した後に採血、測定します。夕食後、翌朝の食事をとらずコーヒーやお茶を飲まず受診することになります。(一般的なお勧めの状態です。)

②血糖のコントロール状態を確認する場合、食後(食べ始めから)2時間で測定する人もいます。血糖上昇パターンを調べるために、食後1時間ごとに6時間くらいまで測定する場合もあります。

③糖尿病患者でインスリン治療をしている人は、打つインスリンの単位(量)を決めるために、食前に測定するのが普通です。この患者さんで簡易検査を受ける人はいないと思います。

●体調や測定時刻によって変わる

 食べ始めてから30分くらいで、胃で消化分解され腸壁からブドウ糖が血液に吸収されて、血糖値が上昇し始めます。血糖値のピークは、食べ始めから2時間くらいになると考えられています。また、食べたものによってもこの時間は大きく変わり、トンカツなど脂質の多いものを食べると、4時間くらいかかることもあります。いつ測ってもいいというものでもありません。

●検査結果はあくまでめやす

 検査値は基本的に簡易検査(一部の業者は検査センターできちんと測定分析するものもあり)で、精度は必ずしも高くありません。採血の仕方によっても値は変化します。また、生化学的検査(血糖やコレステロール等)は肝機能以外にたくさんあります。医師はそれらの値を総合して確定診断の一助とします。決して万能ではありません。加えて、その日の健康状態、時間や空腹状態、食べ物などによって検査値が変動することを十分理解していないと何のための検査なのかわからなくなってしまいます。繰り返しますが健康な人でもその日の体調などによって検査値は変動します。血圧測定と同じで、朝夕で値は変動することを考えてみて下さい。スポットで測った値が正常・異常範囲(高いまたは低い)と一喜一憂するのはナンセンスです。以上のように、検査結果は状況に応じて違いますので、まずは、何のために測定するのかを明確にすることが大切です。【了】

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2014年8月 6日 (水)

いざという時、国民の食糧は確保できるのか?

 農林水産省が5日、平成25年度のカロリーベースの食料自給率が4年連続で39%となったことを発表しました。政府が掲げる目標50%はほぼ絶望的で、目標数値を引き下げる検討に入るとのことです。スーパーマーケットに行けば品数豊富な食料品を目にすることができます。これらの多くが輸入品であることを普段はあまり意識してはいないでしょう。しかし、グローバル化が進んだ今日、異常気象や戦争などにより輸入が途絶えた時の備えとして、自給率ではなく自給力を真剣に考える時にきています。

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(出処:2013/6/23熊本日日新聞より)

 単純には言えないことを前提に熊本の自給率を見ると、カロリーベースで全国39%に対して60%、生産額ベースでは全国66%に比しなんと154%となっています。農業県ということもありその消費は大都市圏でしょうが、いざという時に都市圏より食料が確保しやすいということになります。地方ほど食糧自給率は高く、都市圏は全人口の十数%程度の自給率しかないものと思われます。最も打撃を受ける大都市圏に住む人にとっては大問題のはずですがそれに気付いている人は少ないでしょう。

 最近、にわかに話題となってきたのが「食糧自給力」の考え方です。これは、緊急事態の時にどれだけの食料を供給できる力を持っているかを推し測ろうとする概念です。平和ボケに浸る日本がいざという時にどれほどの国民の命を長らえることができるのかを考える上で参考になります。残念ながら今はその指標となる数値が設定されていません。

 政府内には自給率に変わる指標として、国内の総合的な生産力を示す食糧自給力に軸足を移すべきだとの意見があるようですが遅々として進んでいません。いつやってくるかわからない食糧危機。先手を打って中国が世界中の穀物市場を席捲しようとしています。日本も負けじと東奔西走しています。確かに日本人の胃袋を満たすため世界から食料を調達することは必須です。しかし、幸いにも食料調達に困らない今こそ非常時の食料自給力を高める準備をする必要があります。TPP交渉次第では、より深刻な事態を迎えることになりかねません。【了】

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