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2015年6月28日 (日)

対岸の火事ではないMERS問題!受診する前に保健所へ相談

 下火になったかに見えるお隣り韓国のMERS(中東呼吸器症候群)問題は、いつ日本に襲いかかるかも知れず決して対岸の火事ではありません。中東地域への渡航歴のある人もしくはその接触者の発症がほとんどで、特に高齢の方や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人で重症化する傾向があると言われています。

(出典*国立感染症研究所)MERS-neg

 6月27日付時事通信が「韓国保健福祉省は27日、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染者が1人増え、182人になったと発表した。死亡者は変わらず31人。182人のうち、これまでにほぼ半数の90人が完治して退院。隔離対象者は2,467人で、前日より464人減った。」と伝えています。一時のパニック状態から見れば改善されつつあります。

 すでに国内でも予防・防疫体制をとっているとはいえ、韓国とは毎日何万人もの人々が行き来することからいつ感染者が出てもおかしくない状態です。渡航経験でいえば東京から九州に飛ぶくらいの感じで、あっという間のフライトです。観光客の激減で、つと有名な明洞地域には日本人を見かけなくなったようです。新大久保の韓流ショップは閑古鳥が鳴いているとも報道されています。

 見えない敵である細菌はどれほど注意しても完全に防ぎきれることはなく、常に監視する必要があります。厚労省はHP上で、「どの医療機関においても、事前に連絡なく感染症が疑われる患者が来院する可能性があります。患者に対して渡航歴、接触歴、症状等の申し出を促し、医療従事者もこれらの情報を必ず把握した上で、症状に応じた適切な感染予防策(患者にサージカルマスクを着用させる、他の患者と距離をとる、スタッフの感染予防策等)をとる必要があります。MERSに関しては、これまで、医療機関における患者間や患者から医療従事者に対する二次感染の症例が多数報告されています。ガイダンスを参考に、標準予防策、飛沫感染予防策等の徹底をお願いします。」と注意を呼び掛けてます。

 一般人の心得としては「危険」に近寄らない予防策は無論として、いつ感染してもアタフタしないこと、そしておかしいなと感じたら、医療機関に行く前にまずは保健所に相談することが求められます。なお、横浜市では相談窓口を設けています。(横浜市保健所トップページ)【了】

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2015年6月17日 (水)

厚労省の後発薬促進策は波乱含み?

 厚生労働省がジェネリック医薬品の数量割合を2020年度には80%まで引き上げるとの目標を打ち出しました。厚労省も本腰を入れ取り組む姿勢を見せたことは評価に値します。最近、調剤薬局で「このお薬はジェネリックに置き換えることができますがどうしますか?」といったやり取りが普通に聞かれるようになりました。患者も医療者もジェネリック医薬品の理解が進んだ(渋々という側面は否めませんが・・)結果と言えそうです。

 ジェネリックの普及によって全て万々歳かと思いきや、「目標時期」に関して様々な議論が巻き起こっています。あまりに性急な普及率の向上は、ジェネリックと新薬メーカー共にもろ手を挙げられない事情がありそうです。

 ジェネリックメーカーとしては目標に向かって走ることは大いに歓迎なのですが、今後5年間で供給体制を整えるのは至難の業であることから先延ばしを希望しているようです。大量生産できる体制が整っているジェネリックメーカーはごく一部で、現状維持若しくは2~3割程度の増産は可能であるものの一挙にとはいかない事情があります。また、後発薬といえども製品化するまでに相応の時間と経費がかかります。この流れについてこれないジェネリックメーカーはスピンアウトするしかありません。

 新薬メーカーにとっては長期収載品で収益を得ている現状から、できるだけ先延ばしして欲しいのが本音です。5年後に80%が後発薬に置き換わったら飯の糧を失うことになります。それこそ新薬をバンバン開発できなければ早晩経営が行き詰ります。今の時代そんな甘い話は転がっていません。数年前まで、盛んに行われた製薬業界の再編が再び起きかねない事態となるでしょう。

 ジェネリック医薬品については海外勢の激しい売り込みもあり、単に国内製薬企業の問題だけにとどまらず、世界的な大手企業が日本市場を虎視眈々と狙っています。国内メーカーがアタフタするのは絶好の機会なのです。こう考えるとジェネリック医薬品に限らず製薬メーカーとしても世界的製薬企業に対抗できる手段を考えなくてはならず、新たな経営戦略を考える必要があると思えてなりません。新薬・ジェネリック共に飲み込まれてしまうリスクを今から考えておく必要がありそうです。【了】

【補足情報: 厚生労働省医政局経済課長の城克文氏は6月13日、浜松市で開かれた日本ジェネリック医薬品学会学術大会で講演し、後発医薬品の急激な使用促進は「医薬品の供給システム全体に大きな影響を及ぼす」と懸念を表明した。後発品の数量シェア目標値をめぐって経済財政諮問会議からは「2017年度末までに80%以上」との意見が出ているが、厚労省は「20年度末までに80%以上」の新目標値を提案している。城氏は、短期間での急激な変化は新薬メーカーの創薬力を削ぎ、医薬品卸の経営にも影響を及ぼすとし、新目標値は円滑に移行できる「ぎりぎり」の指標と訴えた。

 今年1月時点の調剤医療費上の後発品の数量シェアは58.4%。全体では53%前後と推定されるため城氏は、現行ロードマップでの目標値「17年度末までに60%以上」を1年前倒しして16年度末までに達成することは「視野に入っている」と言及。しかし、「だからさらに高い目標をすぐに達成できるかというと、それは違う」と説明した。(薬事日報2015/6/17)】

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2015年6月16日 (火)

後発薬のMRは高度な専門知識不要なのか!?

 医薬品の拡販はMR(医薬情報担当者)が担っています。医薬品に関する高度な専門知識を持つ人で、主に医療機関(病院・診療所・薬局・検査センターなど)に対して自社製品の学術的情報を提供しています。製薬協が定めるMR資格を必要としています。

 経営戦略として派遣MRを多用する製薬会社が増え、派遣会社には時々に必要なMR派遣要請が舞い込んでいます。派遣MRが決して劣るわけではありません。レキッとした有資格者で、新薬メーカーでは特定商品(新薬の上市やマーケットの底上げなど)拡販時に力を発揮します。このためMR専門の派遣会社があるくらいです。

 ここにきて後発薬のMR不足が考えられています。政府の後押しで2020年には数量ベースで80%を目標とする案が議論されているからです。当然、後発薬メーカーは相応のMRを確保する必要に迫られます。しかし、MRに高度な専門知識は不要とばかり、自前から派遣に切り替えようとしています。コストを抑えようとの算段で、便乗して暴利を企む派遣会社も同列と言えるでしょう。

 ここで疑問です。後発薬メーカーのMRは高度な専門知識は本当に不要なのでしょうか。実質、営業マンとみなされるMRがいれば売れると考えているのでしょう。とすれば、恐ろしいことです。家電や衣料を売るのとは違い、直接生命に関わるものです。しかも、ジェネリックは新薬と全く同等ではありません。難しいことはさておき、物質特許や製剤特許などのため、各社は様々な工夫をして後発薬を製造しています。

 薬の薬理作用や副作用といった問題は新薬だけのものではなく、後発薬でもきちんとした情報提供が求められます。後発薬だからいいかげんなMR(=うだつの上がらないMR)でもいいという考えがジェネリックメーカーにあるとすれば大きな間違いです。不幸にして、もし情報不足により重大な薬禍に陥れば、一時の安易な対応が企業の致命傷となるでしょう。【了】

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【My Photo】梅雨の合間に

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(撮影:宮本 聰 2015年6月15日 都筑区正覚寺にて Canon EOS 60D f/5 1/1000sec. ISO-500)

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焦りが生んだ不適切広告?武田薬品に業務改善命令

 武田薬品といえば知らない人がいない国内有数の製薬企業です。高血圧治療薬「ブロプレス」を巡り不適切な広告を行った問題で12日、厚労省から医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき、業務改善命令を受けました。

 京都大などによる高血圧治療薬「ブロプレス」と他の薬を比べる臨床研究で、効果に明確な差がなかったにもかかわらず、広告では顕著な差があるかの表現で、結果的に誇大広告につながったとするものです。武田薬品は6月12日、「本件は、高血圧治療剤であるブロブレスの血圧低下作用や安全性について疑義が生じているものではありませんが、今回の誇大広告による業務改善命令を受けたことを真摯に反省するとともに、この度の処分により、患者の皆様や医療関係者の皆様をはじめ、関係するすべての皆様に対しご心配をおかけしておりますことを、心よりお詫び申し上げます。」との社告を出しました。

 同社は国内製薬首位で生活習慣病関連に強みを持ち、欧米では潰瘍性大腸炎薬など新製品が好伸し、中国市場でも好調を維持しています。最近ではがん治療薬に力を入れています。一方、柱の降圧剤は後発薬に食われ国内後退を余儀なくされています。また、米国では糖尿病薬訴訟の莫大な和解関連費用負担などから経営環境は厳しものがあります。

 少しでも他社との優位性を訴えたいばかりに決してしてはならない誇大広告(特に医薬品は厳しい規制がある)へ足を踏み入れてしまったツケは今後の業績にじわりと効いてくるものと考えられます。本来、誇大広告などコンプライアンスに係わる問題は専門の部署で厳格なチェックが行われます。念には念を入れているはずです。そこをすり抜けたとしたら企業関与が疑われても仕方ありません。この裏側には激しい競争と目標達成という重い事実があり、その焦りが露呈したのではないかと思えてなりません。

 これを機に、社告にあるように「広告資材等の審査体制の強化や、作成および審査に関わる社員・管理職への教育訓練の充実」は勿論、製薬会社としての使命を今一度肝に命じ、社内体制を再構築し、タケダマークを再び輝かしいものにして欲しいと思います。【了】

参考:医薬品医療機器等法にかかる厚生労働省からの処分について

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2015年6月 4日 (木)

株主総会のお土産は平均千円程度!過度な期待は禁物

 間もなく株主総会が開催される時期になりました。企業によって悲喜こもごも、例年になく活況に沸く企業もあれば不祥事で荒れる会社もあるでしょう。

 よく取り上げられる株主総会のお土産についてです。ランキング(株主総会お土産 3月決算会社 - 会社四季報オンライン)まで登場するお土産ですが、ごく一部を除いて交通費程度というのが相場です。本社が東京であれば、都内有名ホテルの宴会場で開催されることが多く、東京駅を起点としておよそ25Km圏の株主がほとんどだと考えられます。すると、交通費は片道およそ500円、往復1,000円といったところです。最大に見積もっても1,500円といったところでしょうか。

 過去に出席した株主総会のお土産の一例です。

J社 サンジェルマン「フィナンシェ

T社 自社製品+とり弁当

M社 クオカード1,000円

S社 リーフパイ

A社 自社製品詰め合わせ

値踏みするとだいたい1、000円程度で交通費の代わりといった感じです。決して豪華なお土産が出るわけではありません。

 総会に出席するメリットは経営陣の人柄や考え方を直に聞けるといったところでしょう。最近はネットでも総会の模様を配信する企業が増え、だんだん出席する意味合いが薄れてきました。一番のハイライトは質疑応答かもしれません。その場でなければ分からない、感じ取れない雰囲気などから幹部の本音や人柄を垣間見ることができます。特に議事進行のさばき方は社長の力量がはっきりとでます。

 また、普段行くことのないホテル宴会場の雰囲気を味わうことも挙げられると思います。会場に新製品の展示や試飲コーナーなども出席者には興味深いところです。

 損得だけを考えたらわざわざ交通費と時間をかけてまで出席する必要があるか疑問です。もちろん議決権を行使したいという純粋な株主にとっては必須のことでしょう。ただ、マスコミで宣伝されているほど株主総会のお土産が素晴らしいものとは思いません。お土産で出席を釣る釣る会社は特別な事情があるケースです。会社としては郵送で議決権を行使してもらえれば不要な出費を抑えられます。健全な会社なら、これから先もお土産で出席を勧誘することはないでしょう。

 なお、「従来、ご出席の株主様には、お土産、お弁当をご用意しておりましたが、本年からはご用意いたしておりませんことを何とぞご理解くださいますようお願い申し上げます。」という社告を出した企業があります。みなさん、どこの会社か分かりますよね!【了】

 追記:2015/6/15付日経新聞夕刊、「株主総会、脱・お土産 個人増え負担重く」という記事で【株主総会に出席する株主にお土産を渡すことをやめる企業が相次いでいる。イオンが商品券の配布を見送ったほか、ソフトバンクはCMキャラクターの限定グッズの配布を中止する。欠席した株主への還元が不公平になるほか、出席株主の増加で経費や会場運営の負担が重くなることが理由だ。】と伝えています。

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2015年6月 1日 (月)

【My Photo】みつめ合い

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(撮影:宮本 聰 2015年5月30日 よこはまズーラシアにて Canon EOS 60D f/5.6 1/1250sec. ISO-3200)

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外来受診時さらに100円追加?自民特命委で検討

 自民特命委員会が社会保障費の抑制策の一環として、後発薬の利用促進などのほか、外来の受診時ごとに100円などの一定額を支払ってもらう定額負担制度の導入を真剣に考えているようです。現在の医療費はかかった費用の1~3割を患者が負担していますが、それに加えて一定の金額(例えば100円)を加算する医療費定額制度を検討しているというものです。

 医療費は患者の自己負担分を除いて、12年度の35兆円から25年度には54兆円に膨らむ見通しであることから、現在の患者負担に上乗せすることで少しでも医療費抑制を図ろうとするものです。これから議論になること間違いありません。国民皆保険制度は、国民誰しもがいつでもどこでも同じ料金で医療機関を利用できるようにと始まった制度で、患者の負担額は国の基準によって決められています。この負担割合の変更かと思いきや、さらに定額を加算するということにどうもすっきりしません。

 現在の国民皆保険制度は、 「すべての国民をなんらかの医療保険に加入させる制度。医療保険の加入者が保険料を出し合い、病気やけがの場合に安心して医療が受けられるようにする相互扶助の精神に基づく。日本では 1961年に国民健康保険法(昭和33年法律192号)が改正され,国民皆保険体制が確立された。(コトバンクより) 」もので、実施実態として世界に例のない皆保険制度として定着しています。

 医療費抑制策を何とかしなければと思う気持ちはどなたもお持ちでしょう。急激な高齢化を受け日本の医療費は増えこそすれ減ることはありません。このため薬価改定やジェネリック医薬品の普及、高齢者の高所得者には応分の負担、更には薬の無駄をなくそうと処方薬の再利用など国は様々な施策を打ち出しています。ところがここにきて万策尽きたのか、大議論必至の国民皆保険制度の改定ではなく、姑息な定額負担制度の追加導入という新手を編み出そうとしているのです。

 今後この制度が導入されて再び行き詰ったら値上げへと動くでしょう。応能負担ではなく定額制の更なる拡大は低所得者にとっては負担が重くのしかかります。国民皆保険制度の互いに助け合う精神から逸脱することになります。単に100円程度ならと思いがちですが定額制の追加導入は、国民皆保険制度の根幹にかかわるものと認識すべきでしょう。

 なお、2004年4月から新たに大学病院などで試験的に導入されている「医療費定額払い」 とは別次元の話です。【了】

 

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