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2015年6月17日 (水)

厚労省の後発薬促進策は波乱含み?

 厚生労働省がジェネリック医薬品の数量割合を2020年度には80%まで引き上げるとの目標を打ち出しました。厚労省も本腰を入れ取り組む姿勢を見せたことは評価に値します。最近、調剤薬局で「このお薬はジェネリックに置き換えることができますがどうしますか?」といったやり取りが普通に聞かれるようになりました。患者も医療者もジェネリック医薬品の理解が進んだ(渋々という側面は否めませんが・・)結果と言えそうです。

 ジェネリックの普及によって全て万々歳かと思いきや、「目標時期」に関して様々な議論が巻き起こっています。あまりに性急な普及率の向上は、ジェネリックと新薬メーカー共にもろ手を挙げられない事情がありそうです。

 ジェネリックメーカーとしては目標に向かって走ることは大いに歓迎なのですが、今後5年間で供給体制を整えるのは至難の業であることから先延ばしを希望しているようです。大量生産できる体制が整っているジェネリックメーカーはごく一部で、現状維持若しくは2~3割程度の増産は可能であるものの一挙にとはいかない事情があります。また、後発薬といえども製品化するまでに相応の時間と経費がかかります。この流れについてこれないジェネリックメーカーはスピンアウトするしかありません。

 新薬メーカーにとっては長期収載品で収益を得ている現状から、できるだけ先延ばしして欲しいのが本音です。5年後に80%が後発薬に置き換わったら飯の糧を失うことになります。それこそ新薬をバンバン開発できなければ早晩経営が行き詰ります。今の時代そんな甘い話は転がっていません。数年前まで、盛んに行われた製薬業界の再編が再び起きかねない事態となるでしょう。

 ジェネリック医薬品については海外勢の激しい売り込みもあり、単に国内製薬企業の問題だけにとどまらず、世界的な大手企業が日本市場を虎視眈々と狙っています。国内メーカーがアタフタするのは絶好の機会なのです。こう考えるとジェネリック医薬品に限らず製薬メーカーとしても世界的製薬企業に対抗できる手段を考えなくてはならず、新たな経営戦略を考える必要があると思えてなりません。新薬・ジェネリック共に飲み込まれてしまうリスクを今から考えておく必要がありそうです。【了】

【補足情報: 厚生労働省医政局経済課長の城克文氏は6月13日、浜松市で開かれた日本ジェネリック医薬品学会学術大会で講演し、後発医薬品の急激な使用促進は「医薬品の供給システム全体に大きな影響を及ぼす」と懸念を表明した。後発品の数量シェア目標値をめぐって経済財政諮問会議からは「2017年度末までに80%以上」との意見が出ているが、厚労省は「20年度末までに80%以上」の新目標値を提案している。城氏は、短期間での急激な変化は新薬メーカーの創薬力を削ぎ、医薬品卸の経営にも影響を及ぼすとし、新目標値は円滑に移行できる「ぎりぎり」の指標と訴えた。

 今年1月時点の調剤医療費上の後発品の数量シェアは58.4%。全体では53%前後と推定されるため城氏は、現行ロードマップでの目標値「17年度末までに60%以上」を1年前倒しして16年度末までに達成することは「視野に入っている」と言及。しかし、「だからさらに高い目標をすぐに達成できるかというと、それは違う」と説明した。(薬事日報2015/6/17)】

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