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2016年6月 8日 (水)

やはり腑に落ちない!長期処方の原則禁止

 いくつかの慢性疾患で長期間の治療を継続的に行っている高齢者の方も多いことでしょう。この春から今までOKであったものが突然NGになったことがあります。それは長期処方がご法度になったことです。かかりつけ医から、「長期処方(60日・90日)ができないことになったので次回から毎月来院して下さい」と言われ困っている方もおいでかと思います。かくいう筆者の経験です。

 このため患者への負担が大幅に増えました。通院するための時間と交通費はもちろん、毎月受診となるための再診料・処方箋料・指導管理料など従来は2ケ月あるいは3ケ月に一回でよかったものが余分な負担としてのしかかってくるのです。(薬代は変わりません)国を挙げて医療費抑制に取り組んでいる最中、「もっと病院にいらっしゃい」とは腑に落ちません。

その原因を医師にも調剤薬局の薬剤師にも尋ねましたがもうひとつ要領を得ないものでした。診療報酬が変わったためというのが表向きの理由です。どうしても納得がいかずいろいろ調べてみました。

 処方せん料等の算定要件に長期投与についての取り扱いが加算されたためと分かりました。医師が処方する投薬量については、予見することができる必要期間に従ったものでなくてはならないこととされており、長期の投薬にあったっては次の通りとするとして以下が記載されています。

①30日を超える投薬を行う際には、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認する。病状が変化した際の対応方法等を患者に周知する。

②上記の要件を満たさない場合には、原則として以下のいずれかの対応を行うこととする。

・30日以内に再診する

・200床以上の保険医療機関にあっては、200床未満の保険医療機関又は診療所に文書による紹介を行う旨の申出を行う

・患者の病状は安定しているが服薬管理が難しい場合には、分割指示処方せん(処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要がある場合には、分割調剤を行うこと) を交付する

とても難しいことが書き並べられているようにみえますが、これまでかかりつけ医がやってきたことです。例えば糖尿病の患者さんに対しては服薬指導はもちろん、運動や食事などの様子を聞き、さらに定期的な血液検査などによってチェックし①はクリアしているはずです。にも拘らず、今回長期処方を抑制(明確に禁じていない)したために被害を受けるのは慢性疾患患者や高齢患者にほかなりません。最近、いつも行く調剤薬局で聞いたところ、「60日処方や90日処方する医療機関は見かけない」と言っており、原則禁止に等しいのが現状です。

 今度受診したら、「どうして長期投与ができなくなったのですか」と是非聞いてみて下さい。薬局の薬剤師さんにも同じ質問をしてみて下さい。「きまりなんだよなあ」とか「診療報酬支払基金に聞いてみます」とか明確な答えは返ってこないはずです。この問題の背景には薬の大量な飲み残しがあると推察できます。しかし、長期投与の抑制で残薬問題が解決すると思えません。次元の違う問題を慢性疾患患者や高齢患者に転嫁せず、多様な声に厚労省は是非耳を傾けて欲しいと思います。【了】

 

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コメント

本当にそのとうりですね。
薬の大量な飲み残し問題は長期投与の抑制で解決すると思えませんね。
見当違いの悪策です。

投稿: やまんば@糖尿病 | 2016年6月 9日 (木) 12時50分

やまんば@糖尿病さん
コメントありがとうございます。
医療や介護で「?」と思ったことをつぶやいています。これからも宜しくお願いします。

投稿: 宮本 聰 | 2016年6月 9日 (木) 17時10分

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