2014年5月12日 (月)

65歳までの雇用を守ることが先決!年金開始75歳選択制

 11日、年金開始年齢の75歳選択制を田村厚労大臣が選択肢のひとつとして検討する方針を明らかにしました。現在の公的年金の受け取り開始年齢は、国民年金が65歳、原則60歳だった厚生年金は男性が2025年度、女性が30年度までに65歳まで段階的に引き上げているところです。一段踏み込んだ発言に、年金制度の今後に不安を抱く若者が増えることにならないか心配です。 将来の年金を身近なものとして考え始める50歳前後の人にしてみれば、四半世紀も先の話となり、例え選択制とは言え「年金生活」をさらに遠い世界のこととして受け止め兼ねない危険性があります。いずれ選択制が取り払われ、開始年齢にすり替わるであろうと思えるからです。

●社会保障費の膨張を抑えるねらい

年金受給者の何パーセントが75歳選択制を希望するか極めて疑問です。現在、65歳まで開始年齢を引き上げている最中ですが、個人の判断で70歳まで遅らせることが可能となっており、富裕層が年金受け取りを遅らせているようです。社会保障費の膨張を抑える狙いとはいえ、受給者全体のわずか数%が利用しているに過ぎません。現に識者の一部には効果を疑問視する意見があります。

●平均寿命と健康寿命とは違う

75歳選択制とは言え、仮に男女の平均寿命を約85歳とすれば受給期間は10年です。ここで問題となるのが寿命の考え方です。平均寿命と健康寿命とは違い、それこそベッドに縛られた状態で「潤沢」な年金を受け取ったところでどんな意味があるのでしょうか。心身ともに健康な状態で老後を楽しむ生活の支えが年金ではないでしょうか。また、男性の健康寿命は75歳前後です。元気なうちの年金生活は幻となりそうです。

●65歳までの雇用確保が先決

有効求人倍率も上がり就職の機会が増えたことは確かで、数年前に比べ仕事に就きやすくなりました。特に高齢者の再就職が困難であった数年前とは雲泥の差があります。しかし、その就労実態を見ると、仕事と処遇に大きな問題を抱えています。60歳ないしは65歳の定年退職後、希望する仕事・賃金・雇用形態で就労している人は決して多くありません。「きつい・汚い・安い・単調」で不安定な雇用条件で仕事をしている人が如何に多いかがそれを物語っています。現状を蔑ろにして、更に締め付ける年金改革には賛成できません。

 まずは、現行の年金改革制度を地についたものとすべきで、財源不足を声高に掲げ、不安を煽り、いたずらに年金改革を進めればいいというものではありません。今年は5年に1度年金制度の持続性を点検する年です。厚労相発言を機に年金改革論議が本格化しそうですが、現実を直視した議論を期待します。【了】

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2013年8月10日 (土)

消費税増税必要だが時期を再検討すべし!

 消費税の増税時期が迫ってきました。予定では来年4月から増税され、現行の5%から8%となり、その上軽減税率は当面されないため家計へのしわ寄せは必至です。消費税増税を真っ向から否定する人は少ないでしょう。しかし、雰囲気や心持は別にして、アベノミックス効果を肌で感じることができない今、来年4月の増税は時期として本当に適当なのか甚だ疑問です。

 高齢化に伴う社会保障費の自然増は毎年約1兆円前後あり、社会保障制度を持続可能なものとするためには財源の手当てが必要だということで消費税増税が広く国民の理解を得るに至っています。しかし、その前提条件としてデフレの脱却があり、その状態を確認する必要があります。残念ながらアベノミックス効果は中小企業にまで波及しておらず、一部の人を除き顕著な所得増加につながっていません。また、先日の社会保障制度改革国民会議のまとめによれば、広く国民に追加負担を強いる内容となっています。

 このままいけば国民にとって「負担」のダブルパンチです。

 4月肯定派は、消費税増税を果たさなければならない理由として①国際的な信用を毀損する②国債価格が大幅に下落し金利が上昇、日本経済が麻痺する③もし法人税率を上げれば国内雇用の減少につながる④4月~6月の経済指標は相当改善されるなどとし、先延ばしはできないとしています。一方、慎重派は①せっかくデフレマインドが変わりつつあるなか冷や水を浴びせることになる②増税後にゼロ成長やマイナス成長となる可能性が高い③デフレ脱却と歳出構造改革を確実なものとするのが先決④基礎的財政収支を黒字化するという国際公約は守るべき努力する等とし、来年4月からの増税に異論を呈しています。

安倍首相は今日から夏季休暇に入り、山梨県の別荘に籠って最終判断の腹を決めることでしょう。増税時期をデフレ脱却の目標が確認できるまで先送りするということも選択肢になり得るのではないでしょうか。【了】

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2013年7月22日 (月)

ネット選挙運動解禁は然したる効果なし!第23回参院選挙

 21日、第23回参議院選挙の投開票が行われ、与党の勝利で終わりました。下馬評通り自民・公明で76議席と圧倒的な強みを見せました。自民圧勝、ねじれの解消によってアベノミクスが信任されたことになります。安倍首相はまたとない機会を得たことで持論に一層拍車がかかるものと思います。ただ、勝利に浮かれ、民意と異なる政治に走らないよう今後の政局を見守りる必要があります。

 今回の選挙からネットによる選挙運動が解禁となりました。期待する反面、効果のほどを疑問視する声もありました。結果は投票率(選挙区)52.61%と、前回2010年を5.31ポイントも下回り、残念ながら投票率全体を押し上げるほどの力にはなりませんでした。面白半分で選挙運動の情報を見たりツイートしたものの、投票所に足を向ける行動にはつながらなかったことになります。投票に行かなかった理由には別の要素があることは承知しますが、騒がれた割に「ネット選挙運動の解禁」のインパクトがなかったことだけは明らかです。要は選挙に関心のない人を引き付けるだけの魅力はないということです。

 ここ暫く国政選挙はないと言われています。今回の結果を基にネット選挙運動のあり方をじっくり再考すべきではないでしょうか。【了】

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2013年7月 3日 (水)

ネット選挙解禁でネット投票ができる!?

 今夏の参議院選挙から「ネット選挙が解禁」されるとの報道が盛んに繰り返されています。諸外国の例をみてもネット選挙が花盛りで、やっと日本もその仲間入りとなります。これからの選挙を変える画期的な試みとして期待されており、恐らく若者にとっては選挙が身近なものとして受け入れられるものと思います。また、選挙に無縁な子供たちやSNSに疎い高齢者からは、「すごいね!ネットで選挙が出来るんだって!」と感嘆の声が聞こえてきそうです。誤解を恐れず言えば誰でもそう思います。

 しかし、今回の選挙では選挙運動が解禁されているだけで、ネット投票ができるわけではなく、あくまでもネットによる「選挙運動」が解禁となることを理解しておく必要があります。認識不足と言ってしまえばそれまでですが、世間の誤解・疑義を生じさせないためにも公的機関及び報道機関は、「ネット選挙運動が解禁」と正確に伝える務めがあるのではないでしょうか。【了】

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2013年5月 7日 (火)

円安・株高はどこまで進む?東証1万4000円台回復

 7日、円安を好感して4年11ケ月ぶりに東京株式市場は1万4000円台を回復しました。

 米国の景気回復に期待が高まる中、外国為替市場での急速な円安も好感され、全面高となった。日経平均株価(225種)は5営業日ぶりに大幅に反発。終値は前営業日の2日に比べ486円20銭高の1万4180円24銭となり、約4年11カ月ぶりに1万4000円台を回復した。終値の上げ幅は今年最大。全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は35・29ポイント高の1188・57。出来高は約31億8200万株だった。3日に発表された4月の米雇用統計で失業率が3カ月連続で改善、米景気が緩やかに回復するとの期待が広まった。(東京新聞WEB)

 このまま円安が進行して更なる株高に繋がるのか、明日以降集中する企業の決算発表によっては弾みがつくかもしれません。証券会社の説明会にはシニア層が多数詰め掛け熱気むんむんとか。でも、証券アナリストすら先が読めないと言っています。株は生き物、手痛い思いをすることがないよう祈ります。【了】

5月23日(ブルームバーグ):東京株式相場が大暴落

国内金利の上昇懸念に加え、中国の景況感悪化や為替市場での円高傾向が嫌気され、午後にかけて売りが加速した。日経平均株価の下げ幅は1000円を超え、東証1部の値下がり銘柄は全体の99%に達する全面安。東証1部の売買代金、売買高は史上最高を記録した。TOPIX の終値は前日比87.69ポイント(6.9%)安の1188.34、日経平均株価 は1143円28銭(7.3%)安の1万4483円98銭でともに5営業日ぶりに下げ、きょうの安値引け。下落率の大きさは、東日本大震災から2営業日目の2011年3月15日以来(TOPIX9.5%、日経平均11%)だった。

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2012年6月27日 (水)

株主に見放された東電?株主総会への出席者は4、300人余

 27日、東京・代々木第一体育館で行われた東京電力第88回株主総会へ足を運んだ株主は、予想に反して4、300人あまりでした。世間では原発問題や節電対策で頭を抱えているというのに株主はそっぽを向いてしまったのでしょうか。

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        抗議集会も行われた会場のゲート前(代々木第一体育館にて)

 昨年の株主総会には過去最多の9309人が詰めかけて入りきれなかったため、今年は1万2000人収容の代々木第一体育館(東京都渋谷区)があてられました。ところが予想に反して、昼を過ぎても会場を埋め尽くすことはなく、アリーナ席後方や二階席には空席が目立ちました。

 冒頭から議長役の勝俣会長に対する動議が出され、出席していた猪瀬副知事を前に「議長を猪瀬副知事に代えろ!」に始まって、会長への不信任発言が続きました。かの副知事からは経営合理化策をもっと強力に進めるべきとして具体的な例をあげて迫りましたが、「検討します」「ご意見はうかがいました」「ご了承願います」との答弁に終始、いまひとつ迫力の欠ける結果となりました。フロアから不規則発言が続出し、3分という質問時間を無視して持論を展開する株主も多く、実りの少ない株主総会でした。ガス抜きのセレモニーといった感じです。山積する問題を排して、東京電力が再生するまでの道のりは容易なことではなさそうです。出席者が少なかった要因は「新たな経営陣にかすかな期待をかけるしか為すすべがない」と冷めた気持ちなのかも知れません。因みに本日の株価終値は、155円と震災前の2、300円前後と比べ、1/15に暴落したままです。1、000株なら、230万円が15万5000円でしかありません。【了】

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2012年5月24日 (木)

国民の活発な議論が望まれる電力政策

 間もなく夏が訪れようとしています。おととし程度の猛暑となった場合、電力不足の事態が予想され、電力各社が国民や企業に節電を呼び掛けています。一方、原発再稼働の見通しが立たない現状から、電力不足を火力発電などで賄うため、電力会社から値上げ申請が提出され、実施されようとしています。

原発再開の可否についてはそれぞれの立場から、反対・容認の議論が繰り広げられています。この運動を他人事と受け止めてはいけないと思います。また、運動に携わっておられる方々は少なくとも「ただ反対・賛成」ではなく、対極にある考えも理解することが求められます。尤も重要なことは将来における日本の電力政策をどうするかの大局的な議論が行われることです。自然エネルギーを利用した発電が代替えエネルギーとして実用化される日もきっと遠くないでしょう。これらの議論が深まったらそれこそ骨太な行程表が示されるべきです。それを国民は期待しています。

ここで冷静になって考えてみる必要があります。それは今どうするかです。

●原発の再稼働

●電力料金の値上げ

●電力規制の受け入れ

 将来の電力政策を見極めた上で原発の再稼働を認めるのか、原発を再稼働せず更なる電力料金の値上げに甘んずるのか、電力規制という国民生活の基盤となる電力を失い耐乏生活に入るのかです。国民ひとりひとりが自問自答した結果を意思表示する必要があるのではないでしょうか。家庭や職場で、集会で、ネットでと様々な自己主張の方法があります。筆者の意見は、「条件付きで再稼働する」です。【了】

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2011年8月13日 (土)

りんごを食べよう!海外でも風評被害に泣く青森産りんご

 福島原発のある福島から青森まではおよそ300kmです。今まで放射能汚染を被ったという情報は寄せられていません。8月13日現在、モニタリングポストの値では、0.016マイクロシーベルト/時で、自然界に存在するレベルです。

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 りんごといえば青森を連想する人は多いでしょう。蜜の入った甘いりんごは日本人の好物です。その青森産りんごが、海外で風評被害に遭い、例年に比べ輸出額が80%もダウンしていることが伝えられています。りんごに限らず、この種の話は広がる一方です。

 外国人にとって、国内のどこであろうが「日本國」が危ないと感じており、農作物、水産加工品更に自動車まで、放射能に汚染されたものとして怯えています。日本産を韓国産と偽って当局にあげられた、とんでもない韓国の水産加工業者まで現れました。日本人が率先して模範を垂れない限り、この悪夢は消え去りません。りんごはもとより、現地での安全が確認されている作物を積極的に消費しましょう!【了】

■参考情報

asahi.com 海越えた風評被害、深刻 日本産リンゴ、輸出8割減 2011/8/13

http://www.asahi.com/national/update/0813/TKY201108130160.html

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2011年6月28日 (火)

震災後の復興支援を探る-慶応義塾大学でシンポジウム-

 27日、慶応義塾大学三田キャンパスで「震災後の東日本の復興・再生に向けて」と題する講演とシンポジウムが開催されました。

 未曾有の震災被害と東電福島原発の人災が重なり、復興・復旧は混迷の中にあります。「慶応義塾が擁する多様な分野の先端的な研究者による、真摯な議論のフォーラム」と銘打った今回の催しを傍聴しました。ムシムシとする梅雨のさ中、会場となった三田キャンパス南校舎ホールには、時の話題とあっておよそ500名もの人達が詰めかけました。シンポジウムには、東日本大震災復興構想会議議長 五百旗頭 真(いおきべ まこと)氏や同大名物教授 竹中平蔵氏などが参加、時間を超えて活発な議論が繰り広げられました。

講演やシンポジウムの模様をご紹介します。

●第1部 講演

【災害危機管理:新しいメディアの視点から】

村井 純 環境情報学部教授

 東日本震災直後の電話網は、大規模な発信制限が敷かれ、音声通話がほとんど利用できない状態が続いた。一方、パケット通信であるインターネット通信は利用可能であった。メールやツイッター、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が有効に機能しており、インターネットが緊急時のコミュニケーション手段として機能した。現在、震災者や支援者へLLS(Life Line Station)によるインターネットアクセスを提供している。LLS型のシステムによる支援などICT分野(Information and Communication Technology)における実験研究を続けていくことが重要だと考える。

【エネルギーの視点から震災復興を考える】

佐藤春樹 理工学部教授

 徒歩15分で避難可能な多重安全構造の街構想。徒歩15分圏(半径1km)、5,000人収容規模、オール電化、商店街、公共施設などコミュニティに必要なもの全てを備えた、災害避難民村メガフロートなどを建造する。「エネルギー」を視点にした新たな都市構想(震災対応)を企画研究している。

【震災復興への医療的支援:心のケアを中心に】

三村 将 医学部教授

 東京都との連携で、慶応大学医学部からは合計9回、複数の被災地で救援医療団活動を行った。災害による心理的トラウマ(心的トラウマ、悲嘆・喪失・怒り・罪責、社会生活ストレス)に罹った人々、特に災害弱者(高齢者・認知症・身体障害者・子供・乳幼児・外国人など)に対するこころのケアが大切だ。ケアにあたってまずは「傾聴」することに徹した。それは自己回復のプロセスを重要視したからだ。震災後しばらくしてから、PTSDがでてくるものと考えられ、これらに対応する必要がある。現在、継続ケア・ネットワークプロジェクトが推進されている。

【農業分野の復興を目指して:次世代農業への取り組み】

神成淳司 環境情報学部準教授

 東日本大震災の甚大な被害を踏まえると、単純な再整備に基づく大規模化やそれに伴うコスト削減化だけでは、農業分野の中長期的な発展を意図した復興は難しい。このため、農業分野の復興には、熟練農家の知見を利用した作物栽培(世界最高水準の高生産性・高品質性の展開)と医農連携に基づく「機能性」作物の追求(健康に資する食への取り組み)を推進している。

●第2部 パネルディスカッション

五百旗頭氏発言要旨

6月25日に国に答申された「復興への提言」をとりまとめた趣旨や苦心した点などを、阪神大震災経験を交えながら話されました。

 会議を進めるに際して、省庁の壁が大きく立ちはだかった。その垣根を越えて一緒に考え、それぞれが「復興の姿を想い描いて」提言書にまとめることができた。政策的合理性を考える上で、復興部会が大きな働きをなした。また、「減災」という新たな考え方(完全に津波を防ぐという発想から、災害時の被害を最小限に抑える)を提唱できた意義は大きい。提言の実施には財源が必要であり、今後の政府の対応に期待している。地震の教えとして「逃げることが生きること」と痛感している。

竹中氏発言要旨

 今回の出来事は「複合連鎖危機」である。地震、原発事故、エネルギー不足、サプライチェーン崩壊、農産物安全性の危機など複合的な問題が連鎖的に起きている現状は、まさに「複合連鎖危機」であり、対応を怠ると日本への信認全般が揺らぎかねない。「バリュー・オブ・ジャパン」(日本の価値)の危機といってもよい。危機が続けば円が暴落する可能性がある。今政府に求められるのは、強いリーダーシップとマネジメント能力である。一方でこれを機に、フロムスクラッチ(ゼロベース)の観点に立って考えれば、今までとは違う農業・工業・行政を作り上げる可能性がある。「マクロ経済運営の視点が欠落している」最後にこう付け加えていました。

●まとめ

 今回の震災と原発事故は、東日本に限らず国内全体に大きな社会的・経済的ダメージを与えており、その回復のために学界の叡智を結集させた解決策を世間に提示することが期待されます。慶応義塾がその先駆者となれるか、その真価が問われています。それにも増して、他の大学研究者(特に実践家)がもっと狼煙をあげてもいい気がします。こんな時こそ日頃の研究成果を試すべきではないでしょうか。評論や批判だけをするのが大学の研究者ではありません。実践を伴ってこそが学問の目的のはずです。【了】

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2011年6月27日 (月)

中国ビジネスは細心の注意を!盗人猛々しい中国版新幹線問題

 中国北京と上海を結ぶ京滬高速鉄道が7月1日に正式開業します。中国版の新幹線経済圏では、「人やもの」など物流システムが大きく変化し、飛躍的な経済発展が期待されています。日本の誇る新幹線技術が中国に供与され、地元の経済発展に寄与することは素晴らしいことです。

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写真:上海万博の中国鉄道館前で展示された実物大模型(wikipediaより)

 ところで、中国版新幹線が問題になっています。6月23日付日本経済新聞が、中国南車が米国で高速鉄道車両「CRH380A」の技術特許を申請する方向で検討を開始したことを報じました。CRH380Aは国内の川重の技術(CRH2)をベースしたものであるにもかかわらず、中国側は「川崎重工の技術をベースにしているが、あくまでも自社開発した車輛」と主張しています。もし申請されれば日中間で特許紛争の可能性が高く、泥沼の戦いになるものと予想されます。

 今から30年前のことを思い出します。国内での評価が高く、超微量分析が可能で経済性に優れる、卓上型生化学分析装置(当時の販売価格980万円)を中国が買いたいとの話が、あるルートを通じて入りました。

 社内会議で中国向けに販売するかどうか、喧々諤々の議論となりました。受注すれば、市場規模から相当数のビジネスが期待できるからです。しかし、当時から中国ビジネスはリスクがあるという情報がもたらされていました。「必ず模造品を造る」として業界でもマークされていたのです。ファーストオーダーしかせず、後は模造した製品を中国ブランドで売りまくるというお国柄のようです。会議の結論は「受注せず」でした。

 中国版新幹線でも見られるごとく、今日でも同様な事態があちこちで起きているものと想像されます。真の意味の資本主義が未熟な中国において、ビジネスには細心の注意が必要なことを、今回の出来事が象徴しています。【了】

■関連情報

日経WEB(2011/06/28)

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959FE0EAE2E3868DE0EAE2E4E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

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