2006年3月 5日 (日)

外資系企業を志す⑩インセンティブ

 営業関係の仕事に従事した事のある人ならご存知かも知れないインセンティブ制度。営業売上目標に到達した程度に応じて、特別報奨金が支給されます。現金、小切手、物品、旅行など、いろいろな形で営業マンにニンジンをぶら下げます。個人表彰、グループ表彰、部門表彰と組織単位が上がればあがる程、報奨金の額も跳ね上がっていきます。本来、企業業績が上がった場合には、賞与として反映するのが普通です。その賞与とは別に、営業関係だけは、インセンティブが用意されます。たまに間接部門からねたみや反感を買う事すらあります。その場合の反論は「欲しいなら、あなたも営業職に変わったら」です。

 高額のインセンティブをちらつかせ、しゃにむに走らせます。若くて体力のある者は、それを手に入れようと頑張ります。ロレックスの腕時計と報奨金50万円貰えるとしたらどうしますか?先物取引やその他の飛込み営業ではなく、製薬会社での話です。誰でもチャレンジしてみようと一度は思うはずです。途中まで走って、こりゃダメだと悟った時点で、インセンティブのむなしさを味わう事になります。「俺達をニンジンぶら下げて釣りやがって!」と思っても後の祭り。したたかな同僚の誰かが獲得する事になります。ほとんどの外資系の会社が似たような制度を導入していると思います。

 以前の会社でプレジデントクラブなるものがありました。何も会員制の高級クラブではありません。簡単に言えば、成績優秀な者だけが入れるクラブなのです。

「この間、E君がプレジデントクラブに入ったようよ」

「すごいわ、彼。仕事してるんだ」

 女子社員から羨望の眼差しで見られるくらい、男性なら欲しい会員券なのです。晴れてメンバーになると大きなお土産をいただけることになります。

 ある時、クラブメンバーだけの集まりが、人も羨む世界的高級リゾートで開催され、奥さんや恋人同伴で招待されました。ハワイ、バリ、グアム、サイパン、ロタ、シドニー、ボストン、パリなど数え上げればきりがありません。全て報奨金の代わりとなるもので、二人分の旅費はロハです。もっとも後日年収に積算され税金は個人負担となります。同伴者を誰にするか悩みどころです。

奥様と連れそう堅実派タイプ

父や母を連れて行く乳飲み子タイプ

恋人を堂々と連れて行く行動派タイプ

クラブの女性を伴う豪傑タイプ

皆さん本当に様々です。

 営業から外れますが、外資系の企業では、親会社からのインセンティブ(ストックオプション)もあります。但し一般社員にとっては関係ない場合もありますのでお断りしておきます。

 Personnel Use Onlyと赤いスタンプが押された大型封筒が決まった時期に届けられます。秘密の書類。ラブレターに近いものがあります。胸が少しばかり高鳴ります。Stock Holder各位から始まって、あなたの特別報奨金を用意してあります。いつでも換金できます。多くは現地法人のトップが本社に推薦してはじめてその権利が得られます。子飼いにはどこまでも厚く、忠誠心のある者だけの特権です。何とありがたいことか、涙を流す場面です。対象者が誰なのかはトップしか知りません。その通知を受けた時の喜びは言い尽くせません。「よし、この社長についていこう」と固く心に誓う輩が会社には何人かいます。「許せない」と怒りに震えるあなたは未だ修行不足です。何故かというと金額が半端じゃありません。100万円?300万円?うそ!じゃ1000万円?そんな馬鹿な!その通り、そんな馬鹿なという数字のインセンティブが与えられるのです。誰もがCEOを狙う外資系企業。一攫千金を狙うあなたにはぴったりかもしれません。けれどそれは保証の限りではないことを肝に銘じておきましょう。読者の健闘を祈ります!【了】

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外資系企業を志す⑨異動打診

 長いサラリーマン生活を続けていると、会社都合による異動は必ずあります。中でも急成長期にある会社では日常茶飯事と言えるでしょう。特に外資系企業では、その時の経営環境に合わせて組織の離合集散を頻繁に行う傾向があります。恐らく入社以来、一度も異動を経験しない人は稀ではないでしょうか。業績が好調であれば、当然組織も大きくなりポストも増えていきます。反対に不況の嵐に遭遇すれば縮小に向かう事になります。組織人は常に異動の危険にさらされていると考えるべきです。この時、異動を飛躍のチャンスと捉えるか左遷と捉えるか冷静な分析と判断が必要となります。本社から支店へ、地方から都心営業所へ、研究職から管理職へと様々なケースがあります。

 ところで、あなたの異動は誰が決めると思いますか?

 直属の上司でしょうか、はたまた人事部の人でしょうか、考えたことがありますか?勿論最終決定者は社長であることは日本の企業でも同じです。一概には言えませんが、直属の上司というのは意外と少ないものです。組織を司る管理職の多くは、波風の起こる事を極力避けようとするもので、自分に課せられた業務を遂行する際支障となることを嫌います。余程出来の悪い社員は別にして、現有財産をもぎ取られることに抵抗を示します。中でも優秀な社員をプロモート(昇格)で異動しようとすると、組織防衛に走ります。有能な社員を他部門に引き抜かれるからです。

 人が人を評価することは、言うは易し行なうは難しで、どの会社でも苦労しています。様々なシステムを導入し、改良・改善を加えていますが、これで満足といった評価方式を持っている会社はそう多くは無いでしょう。あなたを評価し、能力や力量を認めてくれるのは、一次的には直属の上司です。同様にあなたの同僚は勿論、先輩、他部門の上長や同僚の目があることをご存知ですか?一見関係ないと思っていた他部門の人があなたの日々の仕事振りを認めて、自部門に引っ張り込むということも少なくありません。業績好調なある部門があったとしましょう。社内から誰をもってくるか。最初に人事データから学歴・職歴・適性検査結果などを参考に一次スクリーニングを行ないます。これからの作業が問題です。

 候補者が複数の部門にいるケースも稀ではありません。密かに練られたプロモーション計画は、経営幹部に上申され内諾を得ます。この際、最終的に絞り込むまで、候補者の所属長に相談することは先ずありえません。候補者を決めてからその上長に打診と言う形で話が持ち込まれます。もうお分かりでしょう。打診とは名ばかりで、あなたの上長に打診があった時には、すでに決定されているのです。それを覆すだけの有力な正論が無い限り、受け入れざるを得ないのがあなたの上長です。

 これでもあなたは、上長から異動の打診を受けたら拒否をしますか?

 もし、拒否すれば結果としてあなたの上長を苦しめることになります。また拒否をしても、企業は労働基準法に照らして問題なしと判断すれば、天下の宝刀「転勤命令」つまり辞令を発令します。会社の就業規則をもう一度読み直して見ましょう。異動・転勤・配置転換の項目に何と書いてありますか。然るべく理由の無い異動拒否は解雇の対象になると書いてあるはずです。

 優秀なあなたなら、部門外の人があなたを狙っているかもしれません。その時、あなたはどうしますか?外資系企業では当たり前なことです。【了】

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2006年3月 4日 (土)

外資系企業を志す⑧ホームパーティー

 クリスマスやお誕生祝いなどで自宅のパーティに招かれることが度々あります。秘書が開催される、2-3週間前から出席の可否を尋ねてきます。これは、社長夫人が何人分の食事を用意しなければならないかを早く知りたいためです。

 ところで、プライベートなパーティは断ってもいいものでしょうか? 答えは勿論イエスです。但し条件つきですが・・・。

 外国に行くと良くホームパーティのお誘いを受けます。客人を歓待する気持ちを表す手段として、家庭に招くことが最善と考えている彼らとしては普通の事です。現地でバイスプレジデントのパーティに出席した時のお話をしましょう。

 富裕層である彼らの屋敷はとてつもなく広く、プールつきはごく当たり前です。中でもラージハウスといわれる住居には度肝を抜かれる程です。広大な?スペースに西洋のお城と見間違う壮大な家にテニスコートとプールがついています。同僚や部下であるお客様が到着すると、映画のワンシーンに出てくるような光景が繰り広げられます。

 真っ赤な太陽が沈みかける頃、奥様連れの高級車が玄関に到着します。運転席の亭主がすぐさま助手席に廻り、奥方をうやうやしく車から降ろします。迎えでた家の主と夫人が満面の笑みをたたえ出迎えます。何年振りかで再会したかの様な表情豊かに話し出します。異国からきた私達からすれば、何とも微笑ましい再会シーンに思えます。

 パーティが始まると、家主の亭主が甲斐甲斐しくホスト役を努めます。会社では見ることの無い笑顔で接します。会社にいる時とは別人になっています。普段、イエスサーと言わせている部下や同僚に対して、わけ隔てなく愛嬌を振りまきます。そう見えます。奥様方も夫人と親密そうに話しています。ワイン片手にいかにも楽しげに、誰もが認め合い、和気あいあいのうちに夜が更けていきます。みんな楽しそうで羨ましいくらいです。

 実はそうではありません。アメリカ人ほど上司を立てる人種はありません。仕事の最終責任者及び決定者は上司です。それだけに絶対権限を持っている場合が多く、「俺の出世する時はお前も出世する時だ」「俺が辞める時は、お前も辞める時だ」日本人社会のことを言っているのではありません。これがアメリカ社会というものです。アメリカ人は、「日本人以上に義理人情の世界にいる」とは、日本人のアメリカ通の言葉です。

 ホームパーティの席がどんなものであったかは、もうお解りいただけると思います。何があってもパーティに駆けつける、奥方は家主の夫人の機嫌をとる、亭主の売込みをする、忠誠を誓うなど仕事の延長線上にパーテイがあるのです。もっとも、広大な国に住む彼らは、日本の様にちょいと出かけるといっても、ダウンタウンまで車で小1時間も走らなくてはなりません。気心の知れた仲間同士があみだした、生活の知恵がホームパーテイと言えなくもありません。

 テキサス州ダラスに出張した折、ホームパーティに招かれました。ラージハウスは予想以上に大きな家で、玄関を入ると3階まで吹き抜けのホール。何と内廊下が四方をめぐっており、部屋数6、寝室4、バスルーム2とは驚きでした。プールサイドに設えたバーベキューセット、メインホールには飲み物、果物、軽食等。全部で25名ほどでしたが、主は例によってホスト役を引き受け、肉を焼いたり、ビールを冷蔵庫から出したりと大奮戦で汗だくだく。見ると夫人の回りには、出席した奥方が輪になっていました。ああ、涙ぐましい努力、思わず脱帽でした。あなたは、パーティに出ますか?欠席しますか?【了】

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2006年2月26日 (日)

外資系企業を志す⑦製造中止は日常茶飯事

 企業が製品の製造中止に至る場合のほとんどは、その製品の持つ市場価値が低下し、競争力を失い且つ採算性を割り込んできた時です。製品のライフサイクルがどんどん短くなっていることから新製品が発売されたと思っているうちに消えていく製品もたくさんあります。メーカーは、販売を中止しても法的にある年数は、部品や消耗品を消費者に供給する体制をとることが義務付けられており、負担になっています。企業利益を生まない製品の供給は、企業にとって何もメリットがありません。華やかな時代を過ごした製品はいつか消え行く運命にあります。また発売したけれど思うような売上を図れない製品は、出来るだけ速やかに市場から撤退せざるを得ないのは企業論理としてもっともなことです。製品の製造中止判断を速やかに行うのが外資系の良いところであり、悪いところです。

 ご存知のように外資系企業の次から次へと新製品を市場に送り出す開発力とパワーは素晴らしいの一言です。一方で採算ベースに乗らない製品も相当数あります。普通なら一旦発売を開始した製品は儲からなくても儲け頭の影に隠れて、ほそぼそと供給する体制を日本の多くの企業はとります。企業の使命感、責任感みたいなものがそうさせるのでしょう。外資系企業は明らかに違います。

 売れない製品をいつまでも製造、販売、保守を行うのは「罪悪」なのです。一定の利益が確保されないと判断された時点で市場撤退作戦を速やかに立てます。どうすれば対費用効果があるか、どうすれば顧客の不満を解消できるか、いつまでにどうやって撤退を終えるかがマーケティングのプロマネによって密かに練られ、GOサインと同時に作戦は実行に移されます。一部の営業担当者からはブーイングが出ます。営業がわめこうが怒鳴ろうが決定された戦略を変更するようなヤワなプロマネはいません。利益確保を最優先する撤退作戦は何もまして重要なテーマなのです。

 顧客に出向いた営業担当は、いかにも申し訳なさそうに話し始めます。

「実は本社の意向で製造中止となりました。恐れ入りますがこの代替製品を採用していただきたいのですが・・・」

本社の意向でという以外理由はないのです。

「急にそんなことを言って貰っては困る。何でなんだ」

お客様は当然食って掛かります。

「いえ、何しろ本社が・・・」「客のことも考えずに何が本社だ」「申し訳ありません」平身低頭して誤り続ける営業担当者は悲惨でしかありません。

 実際の話ですが、ある日突然上司から取り扱い製品の販売中止命令を受けました。その時既に商談中の大学病院をいくつか持っていましたので、慌てふためきました。商談を進めていた製品が、商談半ばで販売中止となったのです。お客様も気に入り最後の詰めの段階でしたからより深刻なことでした。やっとのことで採用になる目前での撤退です。怒りおさまらず相当な勢いで上司に食い下がりました。しかしながら命令は覆されませんでした。数日後、病院を訪問し担当教授に会ったときのことです。「ちょっと話があるから、部屋にこい」といわれ教授室に向かいました。「君があれほどいいというから買う事に決めたのに、アメリカ本国では製造中止というではないか。いったいどうなっているのかね」喉が渇き声がうわずって言葉が上手く出ません。こちらから言う前に既に情報を入手していたのです。勿論一部終始をお話して謝罪しました。数千万円もする医療機器の商談でしたから、約3年に及ぶお付き合いで築いた信頼関係は全てご破算となりました。この時の悔しさは口では言い表せない屈辱感でした。

 いとも簡単なマーケット論理のもと戦略が展開されることを知っておくべきです。冒頭でお話した様に、新製品の発売も早ければ、撤退も早いと言うことを知っておくべきです。国内企業では、発売中止は企業の恥さらしという風潮がありますが、そんな甘っちょろい経営者は外資系では通用しません。採算を度外視して供給されなければならないもののひとつに医薬品や医療機器があります。多くの外資系製薬会社では、必ず代替品を用意する点は評価に値すると思います。【了】

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2006年2月19日 (日)

外資系企業を志す⑥外部登用

 有能な社員を求め続けるのは企業が生き延びる宿命みたいなものです。特に外資系では、公用語が英語でかつ異文化交流の場です。「互いが互いを理解し合って目的に突き進む。言葉の問題なんて克服できるさ」こう考えるのはボランティアとか市民運動のレベルのことで、相手があなたを理解しようと一生懸命努力してくれる場合に限ります。企業のように食うか食われるかの戦いを展開せざるを得ない場所では、あなたを思いやる気持ちはこれっぽっちもありません。

 多くの企業では、人材開発を狙いに研修や異動そして海外派遣などあらゆる方法で後継者の育成を図り、常に人財の確保に努力しています。一般職については、むしろ外資系のほうが研修に熱心かも知れません。階層別研修、外部セミナーへの参加、海外出張、学会参加などを積極的に行います。また語学研修は、相当の負担をして社員の語学力向上に投資をしています。ある面では素晴らしいのひとことです。

 状況が一変するのは経営職・管理職になってからです。課長になり次長になりやがて部長になって更に上位への夢を馳せます。人間誰しも相性の合う人合わない人がいます。3-5年で交代する社長すべてと相性が合う人などいません。仮に35歳で課長になり45歳で部長になったとしましょう。平均4年で社長が交代すると、定年までに3.75人の社長に仕えることになります。相性が合わなければ、誰か他の人と変えるだけのことです。社内に適任者がいない場合も十分考えられます。その結果は、外部からの登用です。外部からきた部長さんに職を奪われ、その配下で仕事をすることになります。

 実際の経験をお話しましょう。前任社長のもとで人材開発部長として、目標管理制度の導入やCDPなどいくつかの社内改革を進めていました。社長交代となった途端、外部から人事統轄部長を迎え入れたのです。寝耳に水とはよくいったもので、そのニュースを聞いた時は信じられませんでした。「今日から私が人事を統轄することになりました。一切は私の考えでやらせていただきます。前の会社で経験したことを踏まえ改革を進めます。もし希望する他の職種があれば遠慮なく言ってください。その実現に努力します」確かこんな挨拶であったと思います。ただ茫然自失、開いた口が塞がらなかったものです。よほど新任社長に一言文句を言ってやろうかと考えたものです。止めました。無用な喧嘩は意味がありません。新任社長にとっては、必要な人を据えたに過ぎないのですから。これが外資系企業です。

 新規事業を立ち上げる時、多くの人材を外部から登用することがあります。今までと扱い分野が異なる場合には必要不可欠です。医学の分野は学問的にも細分化されています。生化学領域を中心に事業を行ってきた企業が血液分野に進出しようとしたとします。専門特化した社員なくして新規事業は始められません。社員を養成している暇がありません。少しくらい給与が高くても、見合う売上が見込めれば、いとも簡単に中途採用を行います。逆もあります。別の機会で詳細に紹介しますが、製品が思い通りに売れない時には、容赦なく社員の異動・転籍・左遷を実行し、自ら辞める環境作りを行います。【了】

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2006年2月18日 (土)

外資系企業を志す⑤身だしなみに気をくばる

 若い人のルックスで「よれよれルック」というのがあるかは知らないが、あまり極端な服装・髪型・靴は止めたほうがいいでしょう。TPOをわきまえ、仕事着と遊び着を分けるのが常識です。普段着用する背広は、地味でなく派手ではなくちょうどいい服装を心がけましょう。何が丁度よく、何が派手なのかを考えるヒントは他人の服装の中にあります。他人の服装を観察することで目が養われてきます。電車内で他人の服装を観察してみましょう。とてもお洒落な格好をしている紳士が沢山いるはずです。

 外人の服装を見て、値段の違いからくる品質上の問題は別にして、度派手な背広を着ている人は少なく、むしろネクタイやカッターにアクセントをつけています。日本人の服装は一般的に地味で暗い印象を受けます。グレーか濃紺の背広に決まりきったネクタイ姿がサラリーマンの服装と思っている人の何と多いことか。きっとサラリーマンという言葉の響きがそうさせるのでしょう。

 ノーネクタイは論外として、ノリのきいたカッターに少し明るい感じのネクタイ。ストライプの入った背広ではなく、無地で落ち着いた色模様を選んでみたい。無粋な色柄のカッターには注意したい。センスを磨くには模倣からといわれるくらい、人の服装に常に関心を持ち自分で試してみる。すると思わない発見と制約から解放され着ることの楽しみが拡がってきます。ものは試し果敢にトライしましょう。但しチンドン屋さんにならない様くれぐれもご注意を。

 靴の話に移りますが、別に高価な靴でなければいけないわけではありません。かかとの擦り減った靴、おめおめ昨日の雨に濡れ、白い粉の吹き出た靴は避け様ではありませんか。外人はよく足を机に投げだします。会議中でも隣の椅子にドンと投げ出し、その大きな靴が目前に迫る事があります。習慣としてはどうもいただけません。自分がしようとは思いません。けれどよく見ると彼らの靴は手入れが行き届いており、決して靴そのものに不快感を与えないのです。お洒落は足元からとはよく言ったものです。

 さりげない身だしなみは彼らにとってごく普通のことで、同じスケールで日本人を見ています。あなたは人前で堂々と足を放り出せますか。YESであって欲しい。【了】

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外資系企業を志す④社内は外国圏

 意思疎通としての英語が喋れないといつまでたっても外人アレルギーは解消されません。英語が上手いか下手かは別にして、会社の廊下や会議など外人と接する機会には積極的に挨拶をしましょう。英語が話せないと外人に一言も言わない人がいますが、心がけひとつでコミュニケーションはいつでもとれるものです。朝合ったら「Good Morning」くらい誰でもいえる筈です。一度口に出して言えば度胸がつきます。少し慣れたら「Good Morning Mr.Jim」などと名前を付けて挨拶しましょう。さらに「How are you doing,Mr.Jim」(ジム元気?)などと気軽に声をかける心の余裕を持ちたいものです。良くある光景ですが、すれ違っても目礼するだけの日本人をみて、外人は不思議なものを見る思いでいるのです。本当は話し掛けて欲しいと思っています。顔と顔を合わせFace to Faceで、目が合ったら笑顔をと一緒に言葉を添えるのが常識です。

 YES/NOを巻頭語にする訓練をしましょう。日常の会話で日本人は、結論から言う習慣がありません。控えめが謙譲の美徳として、自分の言いたい事も相手の立場を考え遠まわしに意見を言う習慣になっています。特に上下関係になるとこの傾向が強くでます。外資系の会議や討議を聞いていると喧嘩が始まったのか思わんばかりの派手な討議が展開されます。米国ばかりではなく、中国や台湾などアジア諸国でもいえることです。自己主張を述べ合う際、相手の意見に賛成か反対かを最初に述べてからその理由を述べています。YES/NOを言ってから議論に入る事を頭に入れておきましょう。営業会議で、当月の売上目標に到達するのか否かを聞いているのに、延々と実はこれがどうであれが問題で等言い訳ばかりを述べる輩には、外人は無能な人としてレッテルを貼ってしまうことがあります。上手くいった、失敗した理由を論理的・客観的に述べる事も大切です。失敗した理由が解れば、彼らはそれ以上追求することはありません。納得できない心情論でいくらわかってもらおうとしても理解を得られません。ビジネスは心情論で行っているわけではないからです。

 社内の慣用語や専門用語には早く慣れましょう。社内には数々の専門用語や短縮用語が使われています。用語に慣れることは仕事をスムーズに運ぶ重要な要素です。必ずしも専門用語だけではなく、社内で使われる短縮用語も早く憶えましょう。外部の人間ではわからない言葉が飛び交っています。この用語を使うことで親しみや理解が早まる事も度々あります。要は言葉に出して言う事が何よりです。あなたも明日から実行しませんか。きっといままでと違ったコミュニケーションが取れるはずです。【了】

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外資系企業を志す③社長の任期は3年から5年

 「社長が変わるらしい」「こんどはどんな社長かね」「あんな社長早く帰っちゃえ」就任してから3年もするとどこからもなく、こんな声が社員の間から囁かれるようになります。社員から人気のあった社長、孤立無援で奮闘した社長、業績を下げてしまった社長、意気揚揚と本土復帰を図る社長と様々です。

 米国企業の場合、一般的に日本支社の社長ポストは、キャリアパス上では本社の副社長への登竜門と位置付ける企業が多いのではないでしょうか。よく言われるのはヨーロッパから日本のゼネラルマネージャーになり、然るべき業績をあげれば本社中枢のポストに就けるというのが暗黙の了解事項です。

 任期中に所要の業績を達成することが本土復帰の条件となっていますから、社長就任と同時に何をするかといえば、信頼のおける参謀の人選です。どんな優秀な社員であっても、社長と馬が合わなければ蚊帳の外となり冷や飯を食う事になります。彼らが人選する基準は何だと思いますか。

①日常の会話に不自由しないこと

②はい・いいえをはっきり言えること

③仕事に対する挑戦的意欲が高いこと

④忠誠心が強いこと

⑤日本人から信頼されていること

 短期間で課せられた目標を達成しなくてはならないわけですから、参謀を育成している暇はなく、自分にとって助けとなってくれる人が何にも増して欲しいのです。時として社内の人間を外して外部から招聘することも珍しくありません。アメリカでは、大統領が変わるとそのスタッフの大部分が変わります。前の大統領と同じことをしては、個性がでません。前大統領の息のかかったスタッフなど要らないのです。企業も同様で、目的達成にかける社長の意気込みは相当なもので、場合によっては幹部総入れ替えといった事態も起こりえます。中でも新任社長が真っ先に手をつけるのが、前任社長の片腕を外す事です。外人は人一倍競争意識が高く、前任者より半歩でも一歩でも前にでることを考えますから、必ず前任者の方針や管理方式の変更を図り、より独自性のあるオペレーションを好みます。

 社長と共に消え入る優秀な幹部は、一旦下がって次期社長交代を待つか社外に出るかの選択を迫られる事になります。信頼した社長が交代することで、島流しに遭う事も覚悟しておかなくてはなりません。【了】

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外資系企業を志す②志望動機

 今日も満席のジェット機が成田国際空港を後に、一路目的地に向かって飛び立っています。未だ見ぬ外国に思いを馳せ、機上の人となった感慨はひとしおです。学生時代に海外渡航の経験をしている人が、全国平均で35%くらいだそうです。事実送られてくる履歴書を拝見すると、旅行・語学研修・留学などで沢山の学生が外国に出ていることが解ります。

 採用面接試験で外資系企業への応募動機を聞いた際の典型的な答えのいくつかをご紹介します。

①処遇が良い

②正当な評価をしてもらえる

③やりたい仕事ができる

④好きな英語が生かせる

 学卒面接で決まって答える志望動機は以上の4つに要約されます。どの人も判を押したように答えるので面接官としてはうんざりすることがあります。本音は給料が高いことに魅力を感じて応募したという人が大半です。最近では学生向けの就職試験、中でも面接対処法の講習が著名な企業主催で行われいると聞いています。勿論有料で面接対話応酬法をきめ細かく指導してくれ、特に外資系企業の面接勘どころは人気があるらしいと聞いています。特訓を受けた学生は答えが同じになるので「何処かの講習を受けてきましたか?」と質問すると「はい、実は講習を受けてきました」とその舞台裏を披露してくれます。一旦裏を突かれた質問がなされると、しどろもどろになり、本来答えるべきことがきちんと答えられないことになりかねません。このように定型化された学生は、外資系企業ではあまり歓迎されないことを肝に銘じておきましょう。

①と④は確かに当てはまると思いますが、②と④は日系企業でも同じと考えられます。

 語学に自信がある人といっても、専門知識や製品知識が無い人が入社早々からフルに英語力を発揮できるかと言えばNOです。コミュニケーションに関して言えば、話せる人はスムーズに組織に溶け込めるといえるでしょう。給料の高さに目がくらんでと言う人は少し考えを改めなければいけません。近年日本の外資系企業でも職務給制度を取り入れる会社が多くなりました。職務給では、そのポジションに携わる仕事が細かく決められており、その職責を果たさなければ評価されません。できなければ降格(等級変更)となります。仕事の出来る人は高給を約束されますが、出来ない人は保証されないのが外資系企業です。【了】

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外資系企業を志す①はじめに

 外資系企業への転職を志す人が増えています。外資系という「響きが何となくかっこいい」と憧れる若者が多いと聞いています。世界を股に翔け仕事が出来るなんて夢の様な話が本当にあるのでしょうか。答えはYESです。しかしながら、全員がそうなるわけではありません。途中で挫折しドロップアウトする人も沢山います。外資系企業を志す上で理解しておいた方が良いと思われる事柄をご紹介したいと思います。

 米国系大手製薬会社に約20年勤務した経験から、その内実をご紹介し転職の参考になればと思いこれから話を進めていきます。特に退職前の数年間、採用・研修・評価・人材育成等を担当し、新卒や中途採用に携わってきました。MBAの採用でシカゴ・ニューヨーク・ボストン・サンフランシスコ・ロサンジェルスにも出かけたことがあります。思いで深いのは、アリゾナ州フェニックスに出かけた時のこと、アジアパシフィック人事総括マネージャーに同行し、サンダーバード大学院訪問のため空港に降りたちました。着いたのはすでに夜8時頃、レンタカーを借りホテルに向かった我々は道に不案内であり、現在の様にナビゲータなどありませんから頼りは地図だけでした。フェニックスはご存知かも知れませんが、西部劇ローハイドで有名な街で、大きなサボテン(カクタス)が道路の両脇に立つ外灯もない真っ暗闇の道です。何も無い荒野の街道をひたすら走らせました。ところがどう間違ったのかいけども行けどもホテルの灯りを見出せず、到着したのが真夜中に近い11時過ぎでした。レストランも閉まり、売店もなくひもじい思いで寝床に就いたのを覚えています。

 ワールドワイドでビジネスを展開している企業は、国内の日本人のみならず外国で学ぶ日本人の採用にも積極的です。ハーバード大学院などにもたくさんの日本人が留学しています。これから世界に羽ばたこうと大志を抱いている方にはエールを送りたいと思います。そのためには周到な準備と外資系企業の内実を知る事が肝心です。【了】

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